それぞれの道①
<Side ガーネット>
「う……」
ざらついた砂利が、頬に刺さっている。硬い地面に横たわっていたせいで、身体の節々が痛い。
ゆっくり上半身を起こした私は、周囲をきょろきょろと見渡した。
しかし真っ暗で、あまり状況が読めない。
見上げると、にたりと笑っているような月が出ている。
馬車が黒い鎧の集団に襲われたのが、正午を三時間ほど過ぎた頃だった。
つまり私は、五時間ほど意識を失っていたと考えられる。
つき、とこめかみに痛みが走り、鼻の奥に残った独特な香りが、微かに鼻腔をくすぐった。
────そう、思い出した。
アイザックが倒れた後、私の元へも黒い鎧の兵士たちは近付いてきた。
私はそれを、動くことも、泣き叫ぶこともなく、黙って待った。
「こいつ、死んでるのか?」
微動だにしない私の姿に、馬車に乗り込んできた兵士の一人がそう言い放った程だ。
その後、
「いや流石にそんなことはないだろう……。とりあえず、手筈通りに」
馬車に入ってきたもう一人の兵士が淡々と指示したことで、私は何かの薬品を嗅がされ、気を失った。
そしてこの場所に運ばれ、今まで転がされていたようだ。
見知らぬ土地に、一人きり。
改めて、これまで起きたことを整理すると、現状がかなり厳しいものであると実感する。
アイザックと合流することが最優先事項だろうが、アイザックはおろか、私自身がどこにいるのかも不明だ。
こんなに暗い中、どちらに向かって進めばよいかも、進んだ先で、何をするべきかも分からない。
そもそも一人で、何かを成せたことなどないのだ。
一気に心細くなって、私は膝を抱える。
一人ぼっちで、どうしたらいいというの?私はこれから、あなたをどうやって探し出せばいいの?
怖い。怖いから、何とかしてほしい。
早く助けに来て、アイザック……。
思わず、身体を抱きしめる両手に力が籠る。
その時。
ちらり。
ちらり。
遠くで、何かの光が揺らめいているのが視界に飛び込んできた。
それはまるで、絵本で見たカナリアのようなほっとする色を纏って。
こちらに近づいてきた。
私は息をのんで、その光が私に接近するのを見つめる。
そして光との距離が、もう1メートルもないくらいになった瞬間────。
「おねえちゃん、どうしたの?」
ランタンと白い犬に繋がったリードを、それぞれ両手に持った、年端もいかない少女がそこには居た。
お読み頂き、心から感謝致します。慣れないロマンス(それも溺愛系!)ですが、少しでも貴方様の心を動かすことが出来たのなら幸いです。
今後ともぜひ、よろしくお願いします。
次回は 2/11 21時 更新予定です!




