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【バアルの零落物語】  作者: 壱千羽
序章
3/8

【2話】七つの大罪定例会議

 


 シャンデリアが壮大な会場を照らし其の場に在る食材や悪魔達をも照らす。

 会場の中央には中央が開いた円卓に椅子が五脚。


 一部水が張られている箇所があり其の場には四十(メートル)以上はあるだろうと云った巨大な蛇が円卓に顔を覗かせていた。



一寸(ちょっと)ばかし影を創り過ぎじゃレヴィアタン。(わらわ)の輝ける財宝達に影を創り輝きを断つ等在ってはならぬ事、即座に退くが良い」

【七つの大罪強欲担当・ソロモン72柱序列七位・侯爵】マモン、マンモン、マムモン

 能力:強欲を司る、欲望の変換、富の探知、金銭操作、過去未来視、破綻と和解



 椅子の上に踏ん反り返り巨大な蛇へと言葉を吐いた悪魔。女の姿を(かたど)った悪魔、七つの大罪の一柱強欲担当マモン。


 其の姿は己の体を財宝等で異様に着飾り過度の装飾品(アクセサリー)を着用しており髪も目も着飾った財宝達に寄せてか煌めく金色である。

 だが頭頂部は髪を染めた事を表すように黒く喋る毎に八重歯が見え隠れする。蛇の尾を持ち乱れた外套(コート)に身に付けられた銀の腕章。


 無茶な事を云うのに本人の堂々とした佇まいは最早感服する程でもあった。



「仕方が無いだろうマモン。僕は自分の体躯変える事は出来ないんだよ出来るのは大きさを変えるだけだ然も大きさは此れで限界。もう数千年の付き合いだろう少し位我慢しておくれよ」

【七つの大罪嫉妬担当】レヴィアタン、リヴァイアサン

 能力:嫉妬を司る、海と水を司る、口から火を噴く



 嫉妬を司る海の魔物レヴィアタン(もとい)リヴァイアサン。


 巨大な体躯は視界に収める事すら困難であるが強いて言うならば姿は蛇に似た姿で在り海に同化しそうな程体躯の色は濃い青色をしていた。(たてがみ)を靡かせ硬い鱗に覆われている。



「妾が毎度の定例会議で苦言を呈しているのをもう忘れたというのかの?体躯の大きさを自由自在に出来るの成らばも少し小さくすれば善いだけの話では無いか。其れが限度と云い努力を怠るのではなく努力し成せ。そして妾の苦言を聞き入れぬのなら――」


「まあまあマモンも落ち着いてレヴィアタンだって一応海の魔物で通ってるんだ此れ以上小さくするのは無理あると俺は思うな」

【七つの大罪色欲担当・ソロモン柱序列三十二位・王】アスモデウス、アスモダイオス、アスモダイ、アスモデ

 能力:色欲を司る、縁切りの力、復讐心の煽り立て、未来予知、透明化、財宝の探知、学問の伝授、初夜の破綻、口から火を噴く、取り憑き



「何じゃアスモデウス、例え海の魔物じゃろうが何人(なんぴと)たりとて妾の財宝の輝きを邪魔する事等許されぬのじゃ!!」


「落ち着いてってば…」



 困ったように微笑む男の姿をした悪魔は軍旗と槍を椅子に掛け己の身長と同じ位の長さの桃色の髪。目元が吊り上がった紫色の瞳。

 (フレーム)の細い眼鏡に黄金の腕章、はっきりとした様な不確定要素の多いような喋り方だ。



「皆静かに。」



 鶴の一声、低くも高くもない中性的な声で発せられた其の言葉には普通とは大分違う重みがあった。

 声を発した者はやれやれと云った様子で椅子に座する。



「騒ぎすぎてしまったら今日此の場を準備(セッティング)してくれたベルゼブブ、ベルフェゴールに申し訳ないよ。御本人は到着していないようだし其の間に迂生(うせい)達は黙して待つのが礼儀というものだよ。」

【七つの大罪憤怒担当・魔王・地獄の三大支配者】サタン

 能力:憤怒を司る、身体変化、欺きと疑惑



彼奴(あやつ)は…まあ善い。妾を待たせた事のじゃ此度(こたび)も揶揄って遣ろうではないか」


「程々にね。ベルゼブブは女の人が怖いんだから」


「だから遣っておるのじゃ当り前じゃろう。其れに彼奴からは富、財産の匂いがプンプンとするからの~財産が其処を尽きぬ限り妾は絡み続ける事じゃろうな。却説(さて)今宵は幾ら堕として()れる事かの」



 全く、と零しサタンは肩を震わせた。


 巻かれた山羊角、腰から生えた蝙蝠(コウモリ)の羽に腕に巻かれた生きている蛇は此方を見、威嚇している。壮大な出で立ちは雰囲気(オーラ)を隠しきれていない。



「マモンの荒々しさは少々問題だなぁ……」



 サタンは呟き顎に手を当て考える。

 マモンは此の七つの大罪の面々の中でも特に気性が荒く富と財宝にがめつい性格をしている。


 七つの大罪強欲担当としては其れが良いのかもしれないが仲間内での交流の場合は少々面倒くさい結果を招く事が多い。



「貴方は如何(どう)思います?」



「……其れは吾輩に聞いているのか?」

【七つの大罪傲慢担当】ルシファー、ルーキフェル、ルキフェル、ルチフェル、ルシフェル、ルチーフェロ、リュツィフェール

 能力:傲慢を司る、光操作



 壮大な山羊角に其の巨大な体躯を覆えるのではないかと思う位大きな蝙蝠の羽。正規の着用とは少しズレた様に王冠を被り上げた前髪は額に残った傷跡を魅せている。



「…そうですね。」

(何故体も視線もルシファーに向けていたのに話しかけたのが自分ではないと…?矢張り理解出来ませんね…)


(急に話しかけられて吃驚(ビックリ)してしまった…慣れない)



 実に混沌とした空気は此の【七つの大罪定例会議】では御馴染みの光景である。

 強欲担当であるマモンが場を搔き乱し其れに振り回される他の悪魔達。そしてマモンの荒ぶりに一番振り回されている張本人の到着は未だであった。



「おお、漸っと主賓の登場じゃ」


「此の時点でベルゼブブが可哀そうに成って来たな…」



 アスモデウスの呟きの直後会場の扉が開かれる。



「遅れました…!えーっと、遅れて申し訳御座いませんでした」

【七つの大罪暴食・怠惰担当・魔王・地獄の東方勢力の支配者・最高神・嵐と慈雨を司る豊穣神・砂漠と戦争を司る神、ヘリオリポリス九柱神】ベルゼブブ、ベルフェゴール、バエル、バアル、セト

 能力:暴食を司る、虫を操る、疫病の蔓延、怠惰を司る、人を不可視にする、知恵の教授、姿の変化、嵐と慈雨を司る、砂嵐と戦争を司る、世界改変、【次元渡航】、己の蘇生




「相変わらず其の肩書と名と能力表記の長さには吐き気がするの」


「私の所為じゃないし………其れに名前表記は縮めた方だけど…」



 くすみ一つに括られた長い赤髪に黒ずんだ瞳。

 黄金の腕章に背の開いた青の長い胴着(ロングベスト)に裾の広がった襯衣(シャツ)、黒い襟締(ネクタイ)を着用した姿は同じ七つの大罪の面々や同じく魔王であるサタンよりも質素に見え特筆すべき点はあまり見当たらない。


 表情も何処(どこ)か綻んでおり威圧感は皆無と言って良いだろう。



「全部表記した場合【こうなる】からね短縮してるの」

【七つの大罪暴食・怠惰担当・魔王・地獄の三大支配者・地獄の東方勢力の支配者・蠅騎士団頭目・悪霊の王・神々と地上の王並びに支配者・最高神・嵐と慈雨を司る豊穣神・砂漠と戦争を司る神、ヘリオリポリス九柱神】

 ベルゼブブ、バアル・ゼブブ、ベルゼブル、ベルゼバブ、ベールゼブブ、ベルゼビュート、ベルフェゴール、ベルフェゴル、ベールフェゴル、バアル・ペオル、バエル、バアル、バアル・ゼブル、バール、ベール、ベル、セト、セテカー、ステカー

 能力:暴食を司る、虫を操る、疫病の蔓延、怠惰を司る、好色を司る、人を不可視にする、知恵の教授、姿の変化、嵐と慈雨を司る、砂嵐と戦争を司る、世界改変、【次元渡航】、己の蘇生



「……迂生(うせい)が毎度思って居たのだがベルゼブブは此の中の名前呼ばれても(すべ)て反応出来るのかい?」


「いえ無理ですね」


「あ、やっぱり…」



 サタンの疑問にも応え乍ら残り一つの空席にベルゼブブは腰を掛けた。其れと同時にマモンが席を立ちベルゼブブの方に駆け足で向かう。


 此れも七つの大罪定例会議では毎度御馴染みの光景の一つである。マモンはベルゼブブが腰掛けた椅子に体を預けベルゼブブに迫る。



「の~久しぶりじゃのベルゼブブ、」



 先程話していた声色よりも格段に高い声でベルゼブブの耳元で囁く。

 因みに当の本人のベルゼブブは体が固まり硬直していた。其れを知ってか知らずかマモンは続けた。



「妾等【七つの大罪】の(よしみ)で如何か、如何か妾に財宝を恵んではくれぬかのぉ?ベルゼブブ様や」


「え、あ、あの…えっと其の…」



 しどろもどろに成るベルゼブブを尻目にマモンは続ける。



「地上や地獄の財産や富にはもう飽きてしもうてのぅ。ベルゼブブ様の御姿の一つに在る【バエル】の上にはあのルキフゲ・ロフォカレ宰相が居るのじゃろ?貴方様の口利きで如何にか妾に此岸彼岸、全世界に在る財宝を妾の手に納めさせて欲しいと」



 何処か恍惚とした笑みを浮かべマモンは迫る。



「い、否ぁ……ルキフグス君も…頑張ってるんだし、其のぉ彼の【(世の富と宝物の管理)】はそう云うさ……目的に、使うのじゃ無いし…」


「じゃあ貴様の資産を妾に寄越せ。貴様の神々と地上の王並びに支配者としての立場を流用すれば此の世の財産を集める事等可能じゃろう?のう妾の為に遣ってはくれんかの?」


「え、あ、や…其の……あや、えっと、あー」


「そうじゃ!神なら誰しも【次元渡航】能力があるのじゃろ?其れで妾を何時もとは違う世界へ誘ってはくれぬ――――」



「はいはい、其処迄だよマモン。」



 マモンの声を制止しサタンは固まったベルゼブブとマモンの間に割って入る。マモンの表情は強張りベルゼブブの表情は安心に満ち満ちていた。



「ああ其れとベルゼビュートには今回の会議の内容伝えてなかったかな?」


「あ、ええ……私は準備(セッティング)したぐらいですね…そう云えば何で今日は集まったんだ…?」


「やっぱり伝えられてなかったかぁ…今日の内容はね」



【君の兄が蘇ったらしいねと云う話だよ】




「は?」




因みにあの長い肩書の解説ですが

名前等辺は様々な書籍では【こう表記されてる】みたいな感じでして。ベルゼブブとかは仏蘭西(フランス)語表記とか新約聖書、旧約聖書、等の表記の差によってこうなっています。

此処の内容は大体は【Wikipedia】が元です。

あと個人的にはベルゼブブよりベルゼバブの方が語感好きです。


七つの大罪暴食担当・魔王・地獄の三大支配者・蠅騎士団頭目・悪霊の王

ベルゼブブ、バアル・ゼブブ、ベルゼブル、ベルゼバブ、ベールゼブブ、ベルゼビュート

能力:暴食を司る、虫を操る、疫病の蔓延


七つの大罪怠惰担当

ベルフェゴール、ベルフェゴル、ベールフェゴル、バアル・ペオル

能力:怠惰を司る、好色を司る


地獄の東方勢力の支配者(加えソロモン72柱序列一位【王】)

バアル

能力:人を不可視にする、知恵の教授、姿の変化


砂漠と戦争を司る神、ヘリオリポリス九柱神

セト、セテカー、ステカー

能力:【次元渡航】、砂漠と戦争を司る


神々と地上の王並びに支配者・最高神・嵐と慈雨を司る豊穣神

バアル、バアル・ゼブル、バール、ベール、ベル

能力:【次元渡航】、嵐と慈雨を司る、己の蘇生、世界改変



七つの大罪の怠惰と暴食が同一人物なのが所謂(いわゆる)元ネタが同じだからです(ベルフェゴールの方は不確定ではありますが元ネタに【バアル】という名前が使われていたので)

加えエジプト神話の【セト】はバアルと同一視されている為同一人物設定で行かせて頂きます。


加え【次元渡航】【世界改変】は此の作品オリジナルで【己の蘇生】は豊穣神は豊穣、栄枯の象徴だから死なないと云った類のものなので深く考えずとも恐らく後々作品内での解説が入ります。


本作の主人公なくせに完全にややこしい肩書能力ですがやんわりと理解して頂ければなと思います。


次の更新は3/18です



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