第一のアトラクション 城8
するとそこは玄関口だ。
なつみは急いで自分の下駄箱を開けた。
「あっ!」
声を上げるなつみ。
靴が無い!
下駄箱は空っぽだ。
「上代!」
呼ばれて声のした方をなつみは向く。
声の主を認めるとなつみの顔はみるみるうちに青ざめた。
いじめグループが並んでなつみを眺めている。
誰もかれもがいびつな笑みを浮かべている。
いじめのリーダーの片手にはなつみのスニーカーがぶら下げられていた。
「か、返して……」
かすれた声で言うなつみ。
「こんな汚い靴、直ぐに返してやるよ。そんな事より」
リーダーの彼女が意地悪に笑うと仲間達がなつみを取り囲んだ。
一人がなつみの手を強引に引っ張る。
「痛い! 離して!」
なつみの声は届かず、なつみは靴下のまま、手を引かれた。
連れていかれたのは校舎裏だった。
そこでなつみは突き飛ばされて地面に尻もちをつく。
日の当たらない湿った土に手をついて立ち上がろうとするなつみをいじめグループのメンバーが寄ってたかって押さえつける。
地面に釘付けにされたなつみをリーダーの彼女が見下ろす。
「な、何をする気?」
恐る恐るなつみが訊ねるとリーダーの彼女から帰って来たのは信じられない台詞だった。
「これから、あんたには楽しい楽しいショーをやって貰うのよ。ストリップショーをね!」
「い、嫌っ……」
なつみは大きく頭を左右に振る。
「はんっ! あんたに拒否権なんかある訳無いでしょ! 皆んな、やって!」
リーダーの彼女の指示と共になつみを押さえつけていた彼女達がなつみの制服に乱暴に手を掛けた。
「止めてぁぇぇぇぇっ!」
叫ぶなつみの口は強く押さえつけられる。
逃げようにも何人にも押さえつけられて身動きが取れない。
神様!
神様!
神様!
祈りも虚しくなつみはあっという間に制服を脱がされた。
土の上には滅茶苦茶になったなつみの制服が散らばっている。
下着だけの姿で体をくの字に曲げて横たわるなつみを、いじめグループの面々はゲラゲラ笑いながら見下ろす。
「ううっ」
すでに泣き出していたなつみのその鳴き声は蚊の鳴く様に小さかった。
こんな所、誰かに見られたらお終いだ。
なつみは必死で鳴き声を堪えようとしたが、後から後から嗚咽は溢れ出してくる。
「はっ! いいざまね。ウケる。上代の癖に案外セクシーな下着着てるじゃん!」
リーダーの彼女が言うと、仲間達が揃って笑う。
なつみを一気に恥ずかしさが襲った。
死にたい。
今すぐ死にたい。