第一のアトラクション 城22
こんな汚れた格好であの女の子と一緒にいたんだ。
自分よりはるかに可愛い女の子と顔まで汚れた自分が一緒にいた事をなつみは恥ずかしく思う。
そして、自分と女の子以外に誰もいなかった事に安どする。
こんなの誰かに見られたりしたら笑われるに決まってる。
他人と自分を比べてしまうのはなつみの悪い癖だ。
と、取り敢えず、出口を目指そう。
ネガティブな思いを振り払い、なつみは進む。
お城の中はただのミラーハウスでは無かった。
所々にお城に相応しい豪華な家具や小物が点在しているのだ。
それはイミテーションであったがなつみのテンションを上げるのに大いに役立った。
小さなテーブルの上に積み上げられたティーカップはルイス・キャロルの不思議の国のアリスのお茶会を思い起こさせ、台に載った作り物の齧った後がある林檎は白雪姫の有名なシーンを思わずにはいられない。
リアルな作りの甲冑は今にも動き出しそうだ。
凄い凝ってる。
おとぎ話の中に迷い込んだ様な錯覚に囚われながらなつみは出口を探した。
ミラーハウスは迷路になっている。
なつみは行ったり来たりを繰り返し、出口を目指した。
しかし、中々たどり着けない。
このミラーハウスってそんなに広く無いはずなのに何で出口が見つからないの?
なつみは完璧に迷っていた。
このまま出られなかったりして。
自分が此処に死にに来た事何か忘れてそんな不安を感じるなつみ。
「何だか疲れて来た」
そう言うと、なつみは側にあったイミテーションのソファーに腰を下ろす。
イミテーションだけあって固くて冷たい感触だ。
なつみは一息つくと天上を見上げた。
少し休んで、そうしたらまた動こう。
なつみがその場でじっとしていると何処からか良い香りが漂って来た。
甘くて、柔らかい、リラックス出来る香りだった。
これも演出の一つかな。
何て、ぼんやり思うなつみ。
良い匂い。
何か癒される。
なつみは大きく鼻で息を吸うと香りをいっぱいに吸い込んだ。
はぁ、気持ち良い。
なつみは大あくびをした。
何だかとても眠たいのだ。
重い瞼を閉じれば、なつみはもう夢の中だった。




