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パーク  作者: 円間
22/28

第一のアトラクション 城21

 海賊船、ティーカップなどのアトラクションが流れて行く。

 そのどれも、なつみの興味を引かなかった。

 何かが違う、という感じかするのだ。

 結局なつみは一度も立ち止まる事無くお城の前まで来てしまった。

「こちらがお城で御座います」

 言われなくても分っている事を女の子は言った。

 なつみは一歩お城に近付き、お城を眺める。

 お城はこうして近くまで来ると思っていたよりもさらに小さく見える。

 でも作りは立派で本物のお城の様だった。

 蔦でほとんど覆われているのもおとぎ話に出て来る眠り姫のお城を思わせて魔法掛かった魅力を放っている。

 お城の塔の屋根に大きな満月が降りていた。

 塔から手が届きそうなくらいに月が近い。

 その月の光を浴びてお城は眩しいほどの光りを放っていた。

「やっぱり此処にします」

 ハッキリとなつみは言う。

 女の子はにっこりすると、「かしこまりました」と言ってお城の広い階段を手で示すと、「こちらにどうぞ」と言う。

 言われるままになつみはお城への階段を上る。

 階段は手すりが壊れていたが階段自体は傷んでおらず、難なく上る事が出来た。

 階段の上には蔦の張った木の扉がある。

 小さい扉だった。

「こちらがお城の入り口で御座います。お城の中は灯りが付いていますので足下だけお気を付けてお進み下さい」

 そう説明した後、女の子は扉を開いた。

「あなたは付いてこないの?」

 なつみが訊ねると、「はい」と元気いっぱいに女の子は答えた。

 それならゆっくり出来そうだ、となつみはほっとした。

「どうぞ。一名様、ご案内で御座います!」

 女の子のその台詞を合図になつみはお城へ足を踏み入れた。

 なつみが中に入ると扉は直ぐに閉じられた。

 ビクリとなつみの体が動く。

 

 と、閉じ込められたわけじゃないわよね。


 なつみは入り口の扉を少し押した。

 扉は開いて、扉の隙間から女の子の、「どうしましたか?」と言う声が漏れる。

「な、何でも無いです!」

 なつみは直ぐに扉を閉めてため息をついた。

 そうして呼吸を整える。

 やっと落ち着いて来ると周りの景色を観察する余裕が出来た。

「鏡だ」

 なつみが言った通り、お城の中の壁の全てに鏡が貼られていた。

 天井はアルミニュウムの様な素材で出来ている。

 お城はミラーハウスだった。

 ミラーハウスは天井の蛍光灯の光りで照らされて眩しい。


 で、電気が通っているの?


 廃墟のはずなのにおかしなものだとなつみは感心する。

 これも夜の遊園地運営事務局の仕業か。

 赤い薄汚れた絨毯素材の床は長年の歴史のなせる業か硬い感触だ。

 その床にはガラスの破片が所々に散らばっている。

 良く見ると鏡は一部、割れている所がある。

 それが実に廃墟らしい。

 鏡は何人ものなつみの姿を映している。

 鏡に映ったボロボロの自分の姿になつみは顔を歪めた。

 山や廃墟の探索でかなり汚れていたらしい。

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