第一のアトラクション 城20
「あの、あのお城って利用出来るんですか?」
なつみは生い茂った木々の向こう側に見えるお城を指差して訊ねた。
「ああ、お城はご利用いただけます」
答えは直ぐだった。
「じゃあ、あの……お城にします」
「よろしいんですか? そんなに直ぐに決めてしまって」
「えっ」
そう言われると迷っちゃう。
優柔不断な所がなつみにはあった。
なつみは少し考えてから、「じゃあ、近くで見てから決めます」
そう言う。
取り敢えず、間近でお城を見てみない事には始まらないとなつみは考えたのだった。
「では、お城までご案内致します」
女の子の声が弾む。
「じゃあ、よろしくお願いします」
「では、参りましょう!」
女の子はぴょんと飛び上がる。
いちいちリアクションがオーバーなのは遊園地のキャストという肩書ゆえか。
なつみはため息を吐くと女の子の後へと続いた。
女の子は一貫して陽気であった。
なつみの苦手なタイプだ。
なつみをいじめていた彼女達も終始陽気であった。
なつみをいじめている時は特に。
女の子は陽気ではあるが余計な事を言う訳では無かったのでそれがなつみの救いだった。
それにしても。
なつみは目をキョロキョロさせながら歩いた。
なつみを色とりどりのライトが通り過ぎてゆく。
そのライトの光りが建物やアトラクションに反射してまるで万華鏡でも覗いたかのような景色を作っている。
綺麗だな。
なつみの中から自然と浮き上がる感動。
ここに来てからなつみはこの遊園地の美しさに感動してばかりだ。
廃墟なんか興味無かったけどこんなに素敵だなんて。
でも、ここが特別なだけかもだけど。
静寂に包まれていた遊園地の姿も美しかった。
しかし、こうしてライトで飾られ、廃墟には不釣り合いなオルゴールの音楽が流れている、何処かちぐはぐな感じもまたなつみを感動させるのだった。
「お客様、地面にお気を付け下さい。枝が落ちていますから」
女の子が後ろを振り向き言う。
「あ、はい」
なつみは直ぐに地面を見下ろした。
直ぐ目の前に木の枝が転がっていた。
ただの枯れ枝だか、その枯れ枝で躓いては話にならない。
なつみは枝を飛び越える。
景色ばかりに夢中になっちゃだめよね。
此処は廃墟に違いないんだから。
と反省するなつみ。
なつみの横をお化け屋敷や子供が乗る様なローラーコースター。




