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パーク  作者: 円間
20/28

第一のアトラクション 城19

「ば、馬鹿げているわ。夜の遊園地なんて、本当に? いたずらでしょう?」

 言われて女の子は悲しそうに眉を寄せた。

 でも直ぐに彼女は笑顔を作る。

「お客様が不安に思われるのも仕方がありません。でも、決していたずらじゃあありません。本当のほんと。お客様は選ばれた存在で御座います。わたくし共、夜の遊園地運営事務局は選ばれたお客様に最高のサービスをご提供しております。このイルミネーションがまずその証で御座います」

 女の子は宙に向かって両手を、ぱっと広げる。

 遊園地はカラフルなライトに照らされて蛍が飛び交っているかの様に現像的な風景を作り出していた。

 そして園内に鳴り響くオルゴールの弾んだ音色。

 なつみ一人を騙すには大掛かりと言えたし、何の為にこんな事を女の子がしているのかも分からない。

 女の子がわたくし共、と言うからには複数の人間によって仕掛けられた事になる。

 ただの女の子であるなつみに仕掛けるいたずらとしては考えられない事だ。

 何か魂胆があるのか、なつみには理解不能であった。

「いたずらと思うなら、騙されたと思って、まずお楽しみ下さい。当園を楽しまれた後はきっとお客様に新しい道が開かれるかと思います」

「新しい道?」

「さようで御座います」

 女の子が魅力的に微笑む。

 まじまじと見ると女の子は実に可愛らしい美少女だった。

 なつみは考える。


 どうせ此処に死にに来たんだ。

 最後にちょっとくらい騙されても良いかも知れない。

 こんな素敵な景色に囲まれて死ねるなら……。


 女の子の勢いに押されたのか、なつみの心は決まった。

「あの、じゃあ、お願いします」

 ぺこりとなつみは頭を下げた。

 女の子は実に明るく、「それでは夢の世界に参りましょう!」と声を張り上げた。


 夢の世界。

 本当にそうなのかも知れない。

 これはきっと夢だ。

 死ぬ前に、ほんの少しだけ、不思議な夢を見ているんだ。

 これが最後に見る夢ならとことん楽しんでやる。


 なつみは未だにしがみ付いていた馬から両手を放す。

「当園のアトラクションを楽しまれる前に、ご説明があります」

 急に真面目ぶって、そう言って女の子は芝居掛かった仕草で人差し指を唇に近付けた。

 なつみは頷く。

「園内の散策はお客様のご自由になさっていただいて構いません。ただし、ご利用出来るアトラクションは一つで御座います」

「たった一つ?」

「はい。たった一つです」

「この遊園地の乗り物ってまだ動くの?」

「残念ながら、ご利用頂けないアトラクションも御座いますが、ほぼすべてのアトラクションがご利用頂けます」

 なつみは心の中でなるほど、と呟く。

 此処は廃墟になった遊園地だ。

 なつみが此処まで歩いて来る間にも、屋根が壊れ、倒壊寸前かと思われる施設がちらりと見えた。

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