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パーク  作者: 円間
15/28

第一のアトラクション 城14

 このお城、凄く素敵。


 夢見る様な目でなつみはお城の写真を眺めた。

 そう言えば、子供の頃の夢はお姫様になる事だったな、となつみは思い出す。

 そう思えば、写真のお城は何処か子供の頃に見た絵本の中のお城に似ているな、となつみは思う。

 全ての写真を見終わった後、なつみは深いため息を付いた。

 そして、こう思った。


 死ぬならこんな場所がいい。


 一瞬思ったそのアイデアはなつみを虜にした。


 ここなら、きっと静かに死ねるに違いない。

 誰にも見つからずに。

 此処には私の事を知ってる人何か一人もいない。

 私を傷付ける人もいない。

 きっと静かに、平和に終わらせる事が出来る。


 そう思うとなつみは心から楽になれた。


 今日、ママが夜の仕事に行った後、そうしたらこの遊園地に行こう。

 それで死ぬんだ。

 それで……楽になれる。


 なつみは深く頷いた。

 そうして部屋を出た。


 今日の夕飯はカレーライスにしよう。

 とびきり美味しく作るんだ。


 最後の晩餐にしては豪華では無い食事。

 でも……。


 ママとテレビを観ながらカレーライスを食べて、いつもと同じ様に過ごして、仕事に行くママに行ってらっしゃいを元気に言って。

 それで良いんだ。


 それがなつみにとっての最高の贅沢だった。




「ごちそう様!」

 なつみは手を合わせて元気に言った。

 仕事から帰って来る母親の為にカレーライスを作って、洗濯した制服を急いでコインランドリーに持って行って。

 それから出掛ける準備をして。

 そうしている間になつみの母親は帰って来た。

 計画通りに母親と食事を済ませたなつみの顔には笑顔が浮かんでいた。

 その笑顔は母親の為だった。

 

 最後に、ママにしけた顔見せられないもん。


 なつみは母親の前でとびきり明るく振舞った。

 二人で観たテレビには大げさに笑って見せたりした。

「今日は随分と機嫌が良いのね」何て母親に言われるくらいだ。

「今日のカレー、凄く美味しかったわ。いつも料理を作ってくれてありがとう」

 最後の一口を食べ終わった母親がそんな事を言うと、なつみはうっかり泣きそうになって、グッと涙を堪えた。

「わ、私、お風呂入って来る」

 そう言って食器を持ってなつみは立ち上がる。

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