第一のアトラクション 城13
世界の廃墟、と名付けられたマニア的なそのサイトに、夜の遊園地は堂々として載っていた。
山の上の遊園地。
かつては笑い声が溢れ、賑わっていたであろう廃墟となった遊園地跡。
今は実に幻想的でノスタルジックな光景を生み出している。
写真は夕暮れ時に撮影したもの。
そう書かれた後に、遊園地の写真が数枚載っていた。
なつみはスマートフォンの画面をゆっくりとスライドさせながら遊園地の写真を見ていく。
一枚目。
遊園地の全貌を外から撮った写真。
沈みゆく太陽の光りが照らすのは錆びて廃れた遊園地の姿。
チケットに載っていた観覧車が遊園地の外から見える。
さらにジェットコースターの様な乗り物も壁からはみ出て見えた。
後、お城の様な建物。
遊園地の看板は錆に侵食されていて肝心の遊園地の名前が読めなくなっていた。
高い壁はペンキでピンク色に塗られた所が、所々剥げていて、しかも緑の蔦で覆われている。
遊園地の周りは青い草木が存在を主張していた。
正に廃墟らしいと言えた。
二枚目。
遊園地の入り口の写真。
写っているのは横に広がった入り口のゲート。
そして入場券の販売ブース。
どこも主に蔦科の植物に侵食されて寂し気だが、何処か秘密の入り口めいた魅力がある。
緑に囲まれたゲートには名前の知れぬ赤い花がたった一輪、咲いている。
その様はなつみお気に入りのバーネットの秘密の花園の庭への入り口の様だと言っても大げさでは無い。
なつみの目に花の赤が揺れて映る。
三枚目。
園内入り口の写真。
圧巻は広場の床のタイルで小さなタイルで月と太陽と、そして青い衣を身に付けた、翼を広げた天使の姿が絵描かれている。
シロツメクサの冠を被った天使の頭の上には黄色い丸い輪が浮かんでいる。
それが太陽の光りの反射で黄金色に神々しく輝いている。
広場に点々と存在する小さな移動式のお店はログハウスを模していて実に可愛らしい。
ポップコーン。
綿あめ。
グッズ販売などとカラフルに書かれた横長の看板が屋根からぶら下がりそれを求める客の姿が浮かんで来そうだった。
なつみはスマートフォンの画面をどんどんスライドさせて遊園地の写真を見ていく。
そうしているうちになつみの中に僅かな感動が湧いて来た。
寂れた風景なのにどうしてこうも魅力を感じるのか。
なつみには不思議だった。
なつみは廃墟マニアでも何でもない。
なのに廃れた遊園地の姿に魅了されている。
もう、憑りつかれたと言っても良いかも知れなかった。
なつみは写真の中からお城を撮ったものを見つけると、それに釘付けになった。
園の外から見えていたのはやはりお城だ。
それは小さなお城だった。
尖った赤い屋根は剥げていたし、お城もほとんど蔦で覆われていて賑わっていたかつての姿を見止める事は出来なかったがひっそりとしたその佇まいがなつみ自身と繋がった。




