第一のアトラクション 城9
地獄を味わっているなつみにリーダーの彼女の卑劣な言葉が降りかかる。
「いいざまだわ。ほら、撮って!」
彼女がそう言うと仲間の一人がスマートフォンをなつみに向ける。
すると他の仲間二人によってなつみの両腕が押さえつけられる。
彼女達が何をするつもりか、その意図を理解してなつみは無駄だと知りつつも「止めて!」と声を出した。
だが、虚しくスマートフォンからカメラのフラッシュが光る。
なつみの声など無視だった。
仲間のスマートフォンを覗き込み、リーダーの彼女が声を上げる。
「あははっ! 中々良く撮れてるじゃない!」
「うっ……」
こんな事をされたのは初めてだった。
いじめは日に日にエスカレートしていたし、これからもっと酷い事をされるかも知れないという予感がなつみにはあったが、まさかこんな事をされるなんて。
「この写真、ネットにばら撒いちゃおうかなぁ」
リーダーの彼女の台詞になつみに戦慄が走る。
そんな事をされたら私の人生お終いだ。
「それだけは止めて! な、何でもするから止めて!」
リーダーの彼女に縋りつこうとするなつみだったがいじめのメンバーに押さえつけられてままならない。
リーダーの彼女はそんななつみの姿を見て凶悪な笑みを浮かべた後にこう言った。
「何でもするって? じゃあ、明日までに五万持って来なよ」
「五万……円?」
「そうしたらこの写真はばら撒かないでいてやるよ」
そう言ってリーダーの彼女がなつみに顔を近付けた。
彼女の顔は整っていてテレビに映るアイドルの様に可愛らしい。
だが、浮かべている笑顔にはまるで品性が欠けていた。
「五万何て……そんなの無理よ……」
なつみの顔に悲壮感が浮かぶ。
リーダーの彼女はなつみから顔を離すと、「あ、そっ。なら写真をネットで拡散する」とあっさりと言う。
なつみは震えながら、「止めて」と首を振る。
まるきり怯えているなつみにリーダーの彼女は満足げににやける。
彼女は再びなつみに顔を近付けて、「なら五万持って来なよ」と言い捨てた。
こんな異常な事が起っているというのに世界にはなつみといじめグループしかいない様に変わらない風景だ。
まるで、なつみ達だけが異次元にでも放り込まれたかのように非日常が平気で繰り広げられている。
「何で……何でこんな事をするのよ。何で私をいじめるの? 私、あなた達に何もしてない。なのに、何でなの?」
なつみの問いにリーダーの彼女は実に不愉快そうな顔を作る。
「何でって、あんたが辛気臭いからよ。何が面白く無いんだか、いつもいつも冴えない顔して学校に来てさ。あんたの顔を見てるとこってまでしけって来るのよ。こっちは真面目に生きてるっていうのに、冴えない顔して陰気を振りまいてクラスの雰囲気を壊してさ。あんた、そんな顔するほど学校が嫌なら辞めちゃえば?」
「なっ……」
なつみは息を呑んだ。




