夢と彼
目を開けると、暗闇にいた。
何も見えないのに、声は聞こえて来る。
『ずっと待ってて。』
誰の声だろう?分からない…。
『ずっと、ずっと待ってる。』
これは…わたしの声?こんな言葉言ったことあるっけ?
『忘れないで。欠片でもいい。心のどこかで覚えててくれたら、またいつか会える。』
このセリフの直後、地面に穴が空いて、足が、体が、どんどん闇に呑み込まれていく。とうとう肩まで呑み込まれて、意識が遠のいてきたそのときまた、知らない彼の声がした気がした。
『寂しくなったら、目を閉じて。そしたら、いつでも会える。』
やっぱり分からない。けど、とても温かくて、大切で…ずっと、ずっとこの人と一緒にいたかった。
「ハッ。夢…」
またこの夢だ。そして、この夢を見たときには、いつも泣いている。いつからこうなのかも分からない。なぜこうなったのかも分からない。いや、思い出せない。忘れてはいけないことだった気がする。いつか、思い出せるのかな?
そんなことを考えながら、家を出る。今わたしは東京海ヶ浜大学の4年生。 そしてザ、就職活動中。今日も面接がある。今度こそ採用してもらえるように、頑張らなきゃ!
「はい。蒼空海さんね。」
「あ、はいそうです。」
「蒼空さんの趣味は?」
お、来たぞ来たぞ趣味!毎回趣味って聞かれるんでよね。
「本を読んでいろいろなことを考え、想像することです。」
「この会社の志望動機は?」
「えーっと編集に興味があるからです。」
「学校はどちらに?」
「え、あの、幼稚園は海中幼稚園で小学校は…」
「はぁー。幼稚園や小学校なんて聞いてません。中学校、高等学校、大学を聞いてるんですよ。」
あ、しまった。やってしまった。やばいやばい。
「す、すみませんっ。え、えっと…中学校は天ノ島中学校で高校も天ノ島高校です。大学は東京海ヶ浜大学です。」
セ、セーフ!ギリギリセーフかなっ!
「あなたの長所と短所は何ですか?」
「えーっとあの長所は前向きなところでー、短所はー。」
この後も質問は続いていき…
「学生時代に頑張ったことは?」
「他社の選考状況を教えてください。」…
な、長い…早く終われ〜!!
「じゃあ最後に…」
よっしゃあ!!最後だ!
「学生時代で1番大切だと思ったことは?」
「1番…大切な…こと…。」
ズキン、ズキン。なんだろう、頭が痛い。頭の中に知らない記憶が流れ込んでくる…。
「…1番大切だと思ったことは
彼と、出会ったことです。」
気がついたら、その言葉を口にしていた…。
有井エイです!こんにちは!
この話に目をつけていただき、ありがとうございます!
海の言う「彼」とはいったい誰なんでしょうか…?
皆さんの記憶に残るものになるように頑張ります!
どうぞよろしくお願いします!