7 外の世界・凍晴
ステータスの記述を少し変更しました。
【聖閃光】や【ルーン魔法】と言ったスキルを新たに〈特技スキル〉という括りに入れました。
光が漏れ出る重厚な扉を開け放つ。
溢れ出る光量に圧倒され、箱をぎりぎりまで閉め隙間から目を細めて外を見るが、何も見えない。
目が光に慣れるまで1分ほどかかった。
ようやく、ダンジョンの外を見ることができる。
一面白銀の大地。枯れた木々。
遠くに見えるは銀嶺の山々。
地面に敷き詰まる白い物に少し埋まった体。
………
まさかの雪国!?
えええええ!?マジで???
もっとRPGのモンゴルとかにあるだだっ広い草原をイメージしてたのに!?
雪!?北方ですか??
いや、今が冬なのか?
確かにあたりに針葉樹はあまり見えない。まあ、この世界に針葉樹が存在する確証はないが、そこまで地球と大差はないんじゃないか?
まあ違っても、ここが雪国ってことになるだけだが。
何より!雪でもなんでも。ようやく外に出れた!
蓋を目一杯開けて深呼吸する。
うん。ダンジョンの埃っぽくて生ぬるい空気とは違って、澄み切ってて冷たい。
はー…雪に1/4くらい埋もれてるけど、外っていうのがとても落ち着く。
ダンジョンに生息するミミックとしてどうなんだとは思うが、これは残った人間の感性かもしれない。
それにもしかしたら、外に出たらあんなところ戻れなくなるから出れないようになってるとか?
まあ、イレギュラーなミミックの俺に他のミミックの生態なんて分かったもんじゃないけどな。
跳躍で雪の中を移動する。
ギュッ、ギュッと足下の雪が踏み締められて後ろにスタンプみたいな長方形の跡が残されて行く。
現在地は谷底で、二方向が切り立った山で断たれている。つまり、山頂の方かその逆に向かうしかない。
尾根の方には…ミミックが上には急すぎる。
なので今、平野を願って山頂方向の逆に向かっている。
箱の隙間から入ってくる冷風が中身の肌を刺す。
何かしら温まる方法が欲しいな…毛布とかあれば箱の中に詰めときたい。
【ルーン魔法】の火は火力が高すぎるし、とりあえず移動先で雨風がしのげる洞窟みたいなものがあればちょうどいいんだがな。
…そう言う意味ではあのダンジョンは適した環境だったんだろうな。
外が冬だと知っていればもうちょっと滞在してたかもな。
でももう外に出てしまったんだ、後戻りはしない。
キャタピラのような跡を長く残し、移動を続ける。
白い景色は変わらず続く。周りからみたら相当滑稽に見えるんだろうな、雪の中を箱が飛び跳ねながら移動する様子は。
30分ほど移動しただろうか。
山脈の谷から抜け、平原に出る。あたりは丘が多く、離れた場所に森が見える。
丘のせいで完全には見えないな、少し登ろう。
近場で一段盛り上がった丘に上り、周囲を見渡す。
海岸が見えた。白い大地が不意に海によって青く変わっている。
そして、街だ。
初めてちゃんとした人の文明を見た。
見たところ港町だろうか、しかし街が半分くらい水上に乗り上がってるように見える。どういう構造なのだろうか。
まあ、いけるかもわからないけどな。前に考えた家内潜入も、やるならもう少し入念に考えたい。
よし、タスクをまとめよう。
・安全なシェルター探し
・食料の調達
・レベリングの為の狩場探し
・家内潜入の計画
ここらへんだろうか。
とりあえず優先度高いのが上からだな。まずは森に向かってシェルターを探すか。
森に向かって、再び移動を始める。
街が横目に移動していく。冒険者たちはあそこからきているのだろうか?
そもそも俺が勝手に冒険者って言ってるだけで、実際どう言う人たちなのか正確にはわからないが、まあ十中八九冒険者で正しいだろう。勇者が存在してるような世界なんだし。
して、と言うことはあの街に冒険者ギルドのような物もあるのだろうか。冒険者、危険はあるだろうが少し憧れる。
…まあ、転生先がミミックなんかじゃなかったらね!!
俺がミミックに転生した理由…いや、原因と言うのか。
小説みたいに神様のような存在が死んだ俺の魂をこの世界に、みたいなことは考えられなくはないが、ダンジョンにミミックとして放り込まれることを考えると、それはないと思う。
その辺も、魔王に会えればわかるのだろうか?魔王にいつ会えるのか、そもそも会うことができるのかすら定かではないが、目標ではある。
なんか色々面倒な手順踏まなきゃいけないとかないよな?王の寝室に忍び込んだり裏世界行ったり。できればそんなメインクエストみたいなことはしたくない。
と、森についた。
木々を見る感じ、針葉樹だな。やっぱこの世界にもあった。
森の中に進む。
雪で起伏がわかりずらいな。さっきの平原はもっと凹凸の緩急がわかりやすかったが、こうも白く染まってると不意な段差とかでひっかかっ…
ボスン!
意味合いは違えど口は災いの元だな。
蓋が開き切った状態で地面に突っ伏していて、中身が直接雪に触れててめっちゃ冷たい。
なんとか顎を引いたり試行錯誤して体制を立て直す。
落ちてきた後ろを振り向く。
かなり角度の急な段差だ。ここなら雪洞を掘れるんじゃないか?
【ルーン魔法】火を活用し雪壁に穴を開ける。
数メートルの奥行きの穴ができ、ところどころを削ったり踏み鳴らすことで居住できるほどの空間ができる。
まあ、これで十分だろ。ここの気候でどれほどの頻度で雪が降るのかわからないが入り口の方向を覚えておけば雪で塞がれても【ルーン魔法】で脱出できそうだし。
一段落した。
ここまで来るのに大変だったが、やっと活動の基盤ができた。今後できることはかなり広がった。
ステータスを確認しておこう。
『種族:ミミック
状態:なし
-[スタッツ/Lv:9]-
HP:77 MP:44
攻撃:69 敏捷:46 頑丈:35 魔力:42
-[スキル]-
〈通常スキル〉
【剣術:Lv1】【魔力操作:Lv1】【超音波:Lv1】【闇魔術:Lv1】【吸収:Lv1】
【デス:Lv2】【精霊強化:Lv1】【牙強化:Lv3】【精神耐性:Lv1】
〈特性スキル〉
【シェイプシフト:Lv1】
〈特技スキル〉
【聖閃光:Lv1】【ルーン魔法:Lv2】
-[称号]-
【擬態者:Lv-】【英雄殺し:Lv--】【伝説殺し:Lv--】【魔物の英雄:Lv--】【人類の敵:Lv--】【ダンジョンの厄介者:Lv7】【Dランクモンスター:Lv--】』
強くなってきた。それにレベルもそろそろ10の大台だ。
今は疲れが溜まっている、起きたらまず食糧を探さないとな。
蓋を閉め、中で眠りにつく。