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勇者殺しのミミック  作者: 練度
4/30

4 勇者の軌跡

《レベルアップしました》

《ステータスが上昇しました、スキル【牙強化】がLv2になりました》


『種族:ミミック

状態:なし


-[スタッツ/Lv:7]-

HP:65 MP:35

攻撃:58 敏捷:41 頑丈:28 体力:41 知力:39 魔力:34


-[スキル]-

〈通常スキル〉

【超音波:Lv1】【聖閃光:Lv1】【ルーン魔法:Lv1】【闇魔術:Lv1】【吸収:Lv1】

【デス:Lv2】【精霊強化:Lv1】【牙強化:Lv2】【精神耐性:Lv1】

〈特性スキル〉

【シェイプシフト:Lv1】


-[称号]-

【擬態者:Lv-】【英雄殺し:Lv--】【伝説殺し:Lv--】【魔物の英雄:Lv--】【人類の敵:Lv--】【ダンジョンの厄介者:Lv6】【Dランクモンスター:Lv--】』


確かに強くなったが、【吸収】で新しいスキルは手に入らないなかった。確定というわけじゃないのだろう。

盗賊系のスキルがあるんだったらそれが欲しかったんだが…別の機会になりそうだ。


女盗賊の体を箱内で咀嚼しながらスキルについて色々考える。

この世界のスキルってのは、どう言う認識なんだろうか。こちらにくる時「自我意思を確認」と言われた。


このアナウンス声がなんなのかという疑問もあるが…ステータスを開けるようになるには自我を持つが必須なのだろうか?

自我の意思…

何をもって自我意思と判断されるのだろうか。自分の認識?

人間などはいつでも確認できるようになるが、動物や俺のような特例を除いた魔物は確認できるのか?

いや…俺もこの世界に来て即座に見れたわけじゃない。他の魔物は確認できない気がする。

それでだ、ステータスを見れない魔物が何かの拍子に新しいスキルを獲得したらそのスキルは使えるようになるのか?いや、使えはするんだろうがそのスキルを入手したこと、使い方はわからない。

それか魔物はスキルを使わ…いや、そもそも即死魔法を使うためにデザインされてるようなミミックがいる時点でそれはないだろう。


だとしたら魔物は本能でスキルを使えるのか?新しいスキルを手に入れたらそれが勝手に戦闘、生活中の選択肢に追加されるのか。

魔物ならまだその理論は納得できそうだが、動物はどうだ?流石に不自然な気がする。


いや、この世界に動物と魔物の明確な区分はあるのだろうか?


あー、やっぱりどこかで考えが詰まる。やはりダンジョンから出て外の世界で情報を収集しないと…


そもそも収集できるのかっていう疑問もあるが…それはなんとかなる気がする。

この【シェイプシフター】というスキルだ。

少し試してみたが、外側の箱を結構自由にいじることができた。上部分の丸みをなくすこともできる。


総体積は変えられないが、少し時間を変えられないがやろうと思えばタンスや机に変わることもできる。

ダンジョン内だと目立つが、タンスは結構有用性がある。実はタンス状態の時ミミックの本体は引き出しの中を自由に移動できる。

なので、うまくいけば民家に忍び込めるのではないかと考えている。

少しの間の情報収集に利用できるかもしれない。そもそも家どころか街も見かけたことはないが。


冒険者以外の人間ですら見たことが…


ガシャ、ガシャ


足音が聞こえ、即座に【超音波】を放つ。


【超音波】はソナー状に音波を飛ばして、跳ね返ってきた音で周囲の地形ががわかるという物で、今人型の何かが映った。

4人ほどの冒険者パーティらしい。流石に襲えない、数が多いし不意打ちもできる状況でもなく、しかもかなり武装してる様子だ。あの勇者パーティよりはよっぽど強そうだ。あいつらが真の勇者パーティなんじゃ無いか?って思えるほどに。


まずいこっちに向かってる。

音を極力立てずに壁際へ擦り寄る。

けど宝箱じゃあ…どうする……あ、それこそタンスになってみるか!?

ちょっと博打要素が多いけど宝箱のまま見られて開けられるよりは…いや、それだと1人確実に持っていけるからいいのか?いや、あの盗賊みたいに罠感知魔法持ちがいる可能性もある。


…やはりタンスか。


ガシャ、ガシャ

鎧が音を立てる音がどんどん近づいてくる。


「アラドさん達大丈夫でしょうか…」

「セスティア様もアランも着いてたんでしょ?大丈夫だって」

「でもこのダンジョンに入って3日なんですよね…音沙汰ないってのは…」

「ダンジョンに潜るならそのくらいかかるだろ?」

「いや…そうですけど。あの人たちはパーティとしては新米だし、そう何日も潜るっていうのは…ん?」

「え?」


そりゃ立ち止まるだろう。ゲームしてるときダンジョンの中でタンスなんか見かけたら俺だって困惑した声をあげて立ち止まる。


一人がコンコンと俺を叩く。

「…えぇ?なんですかこれは」

見てわからないか。タンスだよ。


「ダンジョンに…いや、えぇ!?」

「このタンス一体どこからきやがった」

詮索はいいから早くどっか行ってくれ…

「ここメルゼポナ迷宮ですよね?ハウスミミックとかの中じゃなくて」

「だったら俺らは相当やばいがな」

待て、今聞き捨てならない言葉が聞こえた。ハウスミミックだって?この世界には家に擬態するミミックまでいるのか!

「ハウスミミックなんぞ滅多にできるものじゃないし、そもそもこのダンジョンでミミックなんて今まで見つかったことないはずだからな。」

「まぁ、そうそうハウスミミックにまで進化していくことなんて…」


…進化?

魔物は進化するのか?いや、生物的にではなくてこう、インスタントに。

ポケットなモンスターみたいな感じで。


ガーっ


「おい!開けるなら言えって」

「そうですよ罠だったらどうするんですか!」

本当だよ!心臓どころか本体飛び出るとこだったわ!

「悪かったって、開けたら何かあるかなって」


開けられたのが一番下でよかった。

一番上には勇者達から取った剣や斧が入ってる、そこを開けられたら流石に不審がられるし、会話的にこいつらは勇者達を知ってそうだ。勇者の剣だとわかるかもしれない。


「特に何も無さそうだし…先を急ぎませんか?」

無口だった冒険者が口を開いた。お前喋れたのか。

「…そうだね、こんなよくわかんないタンスとかほっとこ」

「そうですよ、クド君の言う通りです」


一行は訝しむ様子を残しながら、その場を去っていった。

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