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勇者殺しのミミック  作者: 練度
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Re:9 外の世界・凍晴


 螺旋階段を登った先、さらに上に向かって階段が続いている。

ミミックの体で階段を上るのはかなり骨が折れる行為だ。

慎重に段を選びながら力の込め方と体の向きを気をつけて進まなくちゃいけない。


 実のところ十数段しかないが、百段くらい登ったくらいの感覚の後、両開きの重そうな扉が現れた。


 直感でわかる、この扉を開けば外の世界だ。

ようやくだ。こんな薄暗いダンジョンとはおさらばだぜ!


 そう意気込み、扉に体当たりして勢いよくぶち開ける。

開け放たれた重厚な扉から光が溢れ出る。

その光量に圧倒され、目が痛む。



 口をギリギリまで閉じて目を細めて外を見つめる。

しばらくしてようやく目が慣れてきた。




 一面白銀の大地。枯れた木々。

遠くに見える銀嶺の山々。





 まさかの雪!?

ええ、マジで??

やっと外に出れたと思ったのに、その矢先にこれかよ!?


 転生先がミミックだったことといい、目覚めてすぐ勇者パーティと遭遇して全員殺しちゃったことといい、やっとの思いで出れたダンジョンの外が雪原なことといい、俺のミミック生は2週間もしない内に既に波瀾万丈だな。


 ダンジョンに戻って冬をやり過ごすことも考えたが、あまり気乗りはしない。

確かにダンジョンの方が獲物は多いし、安全なのはわかってる、だけどもうダンジョンは出ると決めたんだ。


 それに食料ならこの前得た【体内収納】スキルによってある程度保管してある。

このスキルは体内に別途の収納器官ができるというもので、おおよそ入り切らないだろう体積の物を保管できる。

異世界転生モノでよく出てくる次元収納、あんな感じだ。


 だが体感での収納量はそこまで多くない。

【体内収納】は現在Lv2まで上がったが、せいぜい50㎤程だろう。

今は勇者たちの武器と一緒にパンパンになるまで兎の肉を詰め込んである。

部屋を分けたりすることはできないが、収納の形は好きにいじれるので武器が入るように現在は細長くしている。


 食料は節約して3日分程だ、それ以降は別途食料を見つけなければならない。この雪原で俺が食えるような魔物も、外を出歩く人間がいるかもわからない。

見つからない場合は流石にダンジョンに帰還だな。命をかけるまで矜持を突き通すような意志は持ち合わせていない。


 とりあえずこの世界についての情報を集める上の大前提として、生活できる基盤を作らないといけない。



 方針を固めながら、俺は大きなハンコ跡を残しながら雪原を進んでいった。

ダンジョンの入り口は山に挟まれた谷にあり、俺は谷を下る方に進んでいた。

周りには歯の枯れた広葉樹が生えてるのでここが雪国ではないことはわかる。

…まぁ、ここが地球の生態系とどれだけ関連性があるのかは定かじゃないがな。



 程なくして谷を抜けれた。

その頃時は周囲に夜の帳が下り始めていたが。

谷を抜けた先は森が広がっていて、見渡せるような視界なんてない。


 今日はダンジョン脱出という大きな進捗があったんだ。

一旦休んで次の日に備えよう。


 俺は森でいい感じに窪んだ場所を見つけて斜面側に穴を掘る。


 まだまだ先は長い。

元の世界に戻ることを最終目標として、いまはやるべきことが多くある。

まず第一優先はこの世界について、もっと知らないと。

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