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勇者殺しのミミック  作者: 練度
24/30

Re:5 兎達の沈黙

 ダンジョン徘徊5日目。

昨日から一階層下がった層を探索している。

下の階に出口があるとは考えづらいが、上の階層で見つからないんだ、しょうがない。


 しかしこれ以上下の階層はないらしい。

代わりに厳重な作りの物々しい扉を見つけた。

一瞬出口かとも疑ったが、どう考えてもボス部屋だ。


 念のため【エコーロケーション】を使って中を調べたが、やはり広い部屋があるだけで出口ではない。


 このスキル【エコーロケーション】はめちゃくちゃ便利だ。

音を立てると物に当たって帰ってきた音波によって周囲の構造が頭に立体図のように入ってくる。

流石に部屋越しだと精度はかなり落ちるが、大雑把な形は把握できる。


 原理はソナーとかと同じで、地球でもコウモリやマッコウクジラがそんな能力を有していた。

さらにこのスキルをしばらく使っていたら【超音波】というスキルも習得できた。


 文字通り音波を飛ばすスキルだが、今までは物理的に音を立てた都合上たまに周囲のモンスターが反応したり、もし近くに冒険者でもいれば警戒される危険性があったから結構気が引けただが、【超音波】による音波は自分にしか聞こえないらしい。

高ピッチなだけで一部のモンスターには聞こえるのかもしれないが、少なくともこのダンジョンのモンスターは反応しない。


 ダンジョンの通路の角を曲がって【超音波】を発する。

帰ってきた音波で通路奥にこのダンジョンにいるモンスターのうちの一体、黒い毛並みの兎、通称黒兎が数体確認できた。

口を開けて兎達を確認する。


 お互いに戯れあって遊んでる。

あまり考えてはいなかったが、外に出れた時のために、レベルを上げておいた方がいいのか。

そうだな、元の世界に戻るのも簡単な道のりじゃないだろう。レベル上げをしておいて損はない。


 兎達の近くまで近寄る。

このダンジョンのモンスター達はどういうわけか俺に全く関心を示さない。

モンスター同士で戦ってるのを見たことがあるが、俺は襲われた経験はないし、近くによってもチラッと見られるだけで何もされない。


 今回はそれに助けられる。


 思いっきり跳躍し、4匹いる兎の内2匹を狙って落ちる。

寸前で一匹は気づき躱されたがもう一匹はそのまま宝箱の下敷きだ。


 ぐちゃ と音が響く。


「グッグッ!」

 兎達が俺に対して身構えて威嚇するように鳴く。

兎ってそんな鳴き声なのか。

けどすまない、お前達は俺の経験値だ。

そう思って【デス】を…いやこれ経験値入んないじゃん。

よし、せっかくならこっちを試そう、【ファイアボルト】!


 前方にゆらめく炎の塊が出現し、兎の一匹に向かって速攻で飛んでいく。

兎の黒い体表をさらに焦がしていく。

だが殺し切る威力は無かったらしい。

うさめし…違う、恨めしそうに俺を睨んでる。


 あの魔術師も使っていたら魔法だが、ちょっと威力低くないかこれ?

兎一匹も殺せないのにMPが5も持ってかれるのは割に合わない。


「グーッ!」

 兎の一匹が鳴いてからこちらに突進してきた。

箱に激突される。


 うおっ、結構重たいな。

こういう時に他の転生物でよくある【鑑定】みたいなスキルが欲しくなる。

この兎のスタッツやスキルが気になる。


 箱に突進してきてふらふらしてる兎をサッと舌で掬い上げ口に放り込む。


 さ、次はどっちだ。


 残る二匹は完全に警戒心Maxだ、なんならジリジリと逃げる機会を窺ってるようにも見える。

ならばこっちから仕掛けさせてもらおう。


 【ファイアボルト】を発動し、兎との間の地面を狙って放つ。

地面に瞬間的に爆炎が巻き起こる。


 その炎を目隠しに【跳躍】し、炎に気を取られてる兎達を上から踏みつける。


 「グエッ」

二匹いたから威力が分散して潰れはしなかったが殺すダメージには届いた。


《レベルが6から7に上がりました》

《ステータスが上昇しました》

《スキル【跳躍:Lv2】がLv:3になりました》

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