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勇者殺しのミミック  作者: 練度
22/30

Re:3 魔物とあらば


 俺は勇者達の死体を喰うことにした。


 正直気乗りはしない、【吸収】のスキルの効果を確認するためでもあったが、さっきからなぜか人間の死体がとても美味しそうに見えてしまう。


 どうやら俺は本当にどうかしてしまったらしい。


 俺は口を開け、舌を伸ばして勇者の体を持ち上げて口へと運ぶ。

ばきり、と人体の骨を折りながら体を咀嚼する。

剣は邪魔なので先に外しておいた。


 人を食べるのに不思議と嫌悪感がない。

当然忌避する気持ちはあるが、罪悪感というか、食べてて気分が悪くなるといったことはない。

理性は嫌がっているが本能は求めている、そんな感じだ。


 ステータスを確認する。


ーーーー[ーーーーーーーーーー]ーーーー

種族:レッサーミミック

状態:普通


-[スタッツ]-

Lv:6/20

HP:50/50 MP:25/25

攻撃:56 敏捷:17 頑丈:32 魔力:28

ーーーー[ーーーーーーーーーー]ーーーー


 …攻撃と敏捷が1ずつ上がってる。


 まぁ、こんなものか。

やっぱ【吸収】によるスキル獲得はあまり現実的じゃないらしい。


 続けて魔術師の体を食らう。


 勇者を食べた感じ、この体なら4人食べてちょうど満腹なりそうな感じだ。

うーん、体の反応からしてやはりミミックは人間が主食らしいが、元人間の身からすれば少し気になる。


 と言っても、元人間だとは思えないほどそこまで抵抗感があるわけでもない。


 魔術師の体を飲み込む。


《スキル【ファイアボルト:Lv1】を習得しました》


 あれ、とれちゃったよ。

【吸収】、ちゃんと使えるスキルかもしれない。


 新しく手に入ったスキルを確認する。


《【ステータス表示:Lv1】ではまだ確認できないスキルです》


 あれ?え、ダメなのか。

【デス】や【シェイプシフター】が確認できてなんで【ファイアボルト】は確認できないんだ?


 別に詳細を見なくとも効果はわかるからいいのだが、気になる。

ひょっとして【ステータス表示】を使ったスキルの詳細表示はLvによって解放されるのではないか。

前者二つのスキルは最初から持ってたスキルだから、ということなら説明が付く。

試しに【ダンジョンの厄介者】を確認する。


《【ステータス表示:Lv1】では称号の確認はできません》


 ということらしい。

レベルごとに一定段階ごとのスキルしか確認できず、称号自体まだ確認できないらしい。


 スタッツを確認する。

魔術師からは魔力が2貰えた。


 次は戦士だ。

ぺろり、とその屈強な肉体を平らげる。


 スキルの獲得はなし、スタッツはHPが3、攻撃と頑丈に1ずつ貰えた。

スタッツ吸収は結構多めだったな、この上昇量は吸収元のスタッツがある程度影響するんだろうか。


《スキル【吸収:Lv1】がLv2になりました》


 おっ、じゃあこのまま聖女も行こう。

少女の華奢な体を持ち上げ、口に運んで喰らう。


《スキル【聖閃光:Lv1】を習得しました》


 キタコレ。

【吸収】ガチャが大当たりした。


 【ステータス表示】じゃ確認できなかったが、名前が一致してることからあの時聖女が使った閃光のスキルで間違いないだろう。


 …これ俺が持ってていいのか?聖なる光って、明らかに邪悪なミミックが持ってていいとは思えない。

しかも使われた時俺にダメージ入ってたよな、多分悪き魂を浄化するー、って感じの魔法だろう。


 俺が使ってもただの自爆スキルにしかならないな…

いざ使うとなったら箱を全力で閉じないと。


 スタッツはMPと魔力がもらえた、実に聖女らしい。


 地面には勇者の剣と戦士の斧、そして魔術師の杖がころがっている。


 あれ、聖女がステッキみたいなのを持ってた気がするが…

どうやら俺の胃袋の中らしい。


 この武器たちをこのままにするのもな…

と思い、箱に入れて運ぶことにした。

ミミックは構造的に外と内の口で分かれてる。

外の口の牙、つまり箱についてる方で攻撃し、内の口で獲物を咀嚼する作りになっている。

地球でも一部の鮫とかは歯が三重に生えてると聞いたことがある。


 無論どこで聞いたかは思い出せない。

知識的に何かの動物ドキュメンタリーだろうか。


 舌で剣と斧を持ちあげ、外と内の口の間にあるスペースに仕舞い込む。

ちょっと激しく動いたら口内が傷つきそうだが、置いていくのは勿体無い精神が働く。

杖は…長くて箱に入りそうにないから放置で。



 それじゃあ、先に進むとしよう。

周囲を見渡せば薄暗い石レンガ作りの道に等間隔に松明が灯されたいかにもなダンジョンが広がっている。


 魔術師の杖を地面に立てて離す。

少し右寄りに倒れる。


 俺はその方向に向かって、移動を始めた。

このダンジョンから抜け出すのが、元の世界に帰る第一歩だ。


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