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勇者殺しのミミック  作者: 練度
21/30

Re:2 この世界



 どうやら俺は、勇者を殺してしまったらしい。


 そして当然の疑問が浮かんだ。

なんで、勝てたんだ…?


 この世界で勇者がどういう存在なのかはわからない。

だが少なくとも重要な存在なのは間違いないだろう。


 えっと、あの時のステータスって見ようと思えば見れるものなのか?


ーーーー[ーーーーーーーーーー]ーーーー

種族:レッサーミミック

状態:通常


-[スタッツ]-

Lv:6/20

HP:16/50 MP:19/25

攻撃:55 敏捷:16 頑丈:32 魔力:28


-[スキル]-

〈基礎スキル〉

【牙強化:Lv1】【聴覚強化:Lv2】


〈特性スキル〉

【ステータス表示:Lv1】【シェイプシフター:Lv2】


〈通常スキル〉

【噛みつき:Lv3】【跳躍:Lv2】【吸収:Lv1】【エコーロケーション:Lv:3】


〈特技スキル〉

【デス:Lv1】


-[称号]-

【勇者殺し:Lv--】【聖女殺し:Lv--】【伝説を屠る者:Lv--】【人類の敵:Lv--】【魔物の英雄:Lv--】【擬態者:Lv1】【ダンジョンの厄介者:Lv8】【Dランクモンスター:Lv--】

ーーーー[ーーーーーーーーーー]ーーーー


見れるものらしい。


 やっぱりあるよな…【勇者殺し】。

【聖女殺し】も手に入ってることも見ると、あのドレス少女も聖女という特別な存在だったらしい。

勇者に聖女…RPGじゃよくある設定だ。

他の二人が戦士に魔術師…本当に絵に描いたような勇者パーティだった。


 そんな勇者パーティに、なぜミミック風情の俺が勝てたんだ?



思い返して見るが、偶然という他なかった。


 不意打ちで勇者を無力化し、続けて戦士も無力化できてしまった。

聖女は攻撃力をほぼ持ってなかったし、魔術師の魔法はあまりダメージにならなかった。


 勇者がこんなところで死んでいいのかよ。

俺がここで勇者を殺しちゃったことで世界にとんでもない影響を与えてたりしないよな…




 というか、一旦最初から状況を整理しよう。

前世の記憶はないが、俺は確かに地球に生きてた。

その時の知識が何よりの証拠だ。

そしてなぜか今、ミミックとかいうRPGの嫌われものに転生してしまった。

だがそれだけでは終わらず、最初にエンカウントした冒険者が勇者パーティで、なぜか俺が勝ててしまった。


本当になぜ…



 この世界はそもそもRPGでよくあるファンタジー世界でいいのか?

ミミック、勇者、聖女、魔法、ここまで揃えば否定のしようもないが、俺の中でどこか疑ってる節がある。

ドラゴンの一匹でもいれば確信するんだがな。


 いや、このステータスがやはり一番の証拠か。

-[スタッツ]-、の部分に表記されてる数値が、今の俺の強さを表してるんだろう。

攻撃と頑丈が高い…つまり物理戦闘において今の種族、【レッサーミミック】は強いんだろう。

ていうかこの世界はミミックにも劣等種が存在するのか。

【グレーターミミック】なんて存在がいたら、それはそれは嫌われそうだがな。


 そしてスキル。

ゲームにもあるが、この手のものは転生物の創作物でよく見る概念な気がする。

持ってるだけで効果があり、物によっては自分の意思で特殊効果が発動できる。

「基礎スキル」「特性スキル」「通常スキル」「特技スキル」と細分化されているらしい。


 受け止め方に困るが、元の世界に帰るためには全力でこの世界のことを知らなければならないだろう。

これはこういうものとして受け止めていかないとこの先持ちそうにない。


 これ、スキルの詳細とかは見れないのか?

と思いステータスに載ってるスキルに思考を集中する。


《【デス】》

《対象の命を奪う呪いの髑髏を放つ。】

《発動者より格上の存在には効果を発揮しづらく、魔力が高かったり、耐性を持つものであればさらに効きづらい。》

《このスキルを使って殺した対象からは経験点を獲得できない。》


 なるほど、さっき偶然とか思ったが「奇跡」に訂正した方がよさそうだ。

何でこれが勇者パーティに入れる力を持つあの戦士に効いたんだ?


 今俺の中で一番有力な説が「冒険始まってまもない頃だった説」だったが、その説がより濃厚になった。


他のスキルも適当に確認していく。


 正直この文字情報が直接送り込まれる感覚になれないからあまりやりたくない。


《【シェイプシフター】》

《自分の体を自在に変化させることができるスキル。》

《変化中持続的にMPを消費し続ける。》


 独特なスキルだな。

これ使えばミミックから何にでもなれるんじゃないか?

そう思い実験してみる。

とりあえず箱を伸ばして見よう、と思いスキルを発動すると体が本当に直接伸ばされるような感覚。

思った通りに宝箱が伸びている。


 面白いな、けど自由だけど意外と制限がある。

これ以上箱を伸ばすのは難しいし、無理やり伸ばすと箱が少し細くなる。

これはスキルのレベルが上がればもっと自由になるんだろうか。


 ふと頭に考えが浮かぶ。

【シェイプシフター】を使い、体を複雑に変化させる。

お、できた!


 箱をタンスに変えることができた。


 これ、俺が知ってる家具とかならある程度化けれる気がするぞ?

机とか形的に中身が収まらないものは難しいがタンスや樽とか全然行ける。


…けど思ったよりMP効率が良くないな。

さっきまで19あったMPがすでに4まで減ってる。


 面白いが、使い所がよくわからん。


 次のスキルくらいで一旦終わっとこう。


《【吸収】》

《消化が早くなり、栄養吸収量が多くなる。》

《捕食した対象のスタッツを一部吸収し、持っていたスキルを手に入れることがある。》


 これは…案外とんでもないスキルだな。

スキルを奪えるなんて、転生物の小説じゃこれチートスキルだぞ。

でも「ことがある」か、やっぱこんな書き方するってことは低確率なんだろうな。




 勇者達の死体を見る。


 …これ、人間にも効果あるんだろうか。

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