2 魔物とあらば
と、とりあえず死体をどうにかしないと。
だとしてもどう処理すれば良いんだ?隠せるような場所もないし…
これは…ミミックだし行くしかないのか?
俺は思い切って勇者の体をぺろりといった。
《スキル【吸収:Lv1】【精霊強化:Lv1】を得ました》
勇者の体をむしゃむしゃしてるとスキルが増えた。
もしやと思い、戦士の体も咥え込んで咀嚼する。
《スキル【精神耐性:Lv1】【牙強化:Lv1】を得ました》
スキルを確認してみよう。
-[スキル]-
〈通常スキル〉
【超音波:Lv1】【闇魔術:Lv1】【吸収:Lv1】
【デス:Lv2】【精霊強化:Lv1】【牙強化:Lv1】【精神耐性:Lv1】
〈特性スキル〉
【シェイプシフト:Lv1】
ほうほう、やっぱ最初見た時と比べて色々増えてるな。
これってスキルの詳細とかは見れないのか?と思い、脳内で強く【デス】について念じる。
《相手を即死させる邪悪な魔弾を発射する》
《発動者より遥かに格上の相手や同類には通じず、これで即死させても経験値は得られない》
おっ説明が出てきた。
やっぱ即死攻撃っぽいな、けど息の根を止めても経験値は得られない、雑魚を楽に狩って経験値を得ることはできないってことだろう。
他のスキルも見ていこう。
えーと、【闇魔術】!
《闇属性の魔術を使うためのスキル》
《現在使用可能:【ダークン】》
試しに【ダークン】を発動させると、薄暗かった周囲が、さらなる闇に飲まれる。
どうやら辺りを暗くするスキルのようだ、実用性は無さそうだが。
しばらくすると薄暗さが戻る。
どんどんいこう、【吸収】
《消化が早くなり、栄養吸収量が多くなる》
《相手を捕食した際、持っていたスキルを手に入れることがある》
前半地味だが、結構強力なスキルだな。
けどいかにもミミックの持ってそうなスキルだ。
これのおかげで【精霊強化】なども手に入ったのだろう。
《精霊に関連するスキルの効果を強化する》
そのままの名前だが、残念なことに精霊に関連するスキルはこれ一つしかない、将来的に精霊を扱うスキルが手に入れば使い道が生まれるだろう。
スキルはまだ幾つかあるな…確認はまた後でいいや、名前だけであらかた予想がつくしな。
しかし…ミミックの主食はやはり冒険者なのか?そこまで嫌悪感があるわけではないが、人間を食べるのは少々痛まれる。
けど、スキルと食事のためだ!と信じ込み、
聖女と魔術師の体もパクッと行く。
《スキル【聖閃光:Lv1】【ルーン魔法:Lv1】を得ました》
有用そうなスキルが2つきたな、どれどれ。
【聖閃光】
《アンデッドや邪なるものを退散させる光を発する》
《女神に祝福された聖女に与えられるスキル》
【ルーン魔法】
《ルーンとそれに込められた魔力を媒体に魔術を発動することができるスキル》
《ルーンに関する知識増量》
両方ともかなり重要そうなスキルだな、聖閃光に関しては俺が持ってていいものじゃなさそう、というか俺自身が被害に遭う可能性もあるな、今の俺って邪の塊みたいなものだし。
【ルーン魔法】に関しては、あの魔術師が杖につけていた宝珠のことだろうか?
地面に転がった杖に目をやる。
先端に赤、黄、青の三つのルーンが付いていて、それぞれ火、雷、氷属性の…あれ、こんな知識…ああ、スキルの効果か。
ルーン魔法、普通の魔術のスキルと比べてメリットがよくわからないが、使えるなら使いたい。
口から舌を伸ばして杖を拾い上げる。
ミミックは舌が異様に長く、1mはある。
少し考えた後、杖からルーンだけを外して箱の中に仕舞うことにした。
おっと、食べたんじゃなくて体の外であり箱の中。
その中間のスペースに置いておくことにした。
大元の杖は悩んだが、いい素材とか使われてても魔術はあまり熟知してないからその場に置いておいた。
けど他のステッキ、斧、剣は宝箱に収まるサイズだったので中にしまった。
さて、これからどうしたものだろうか。
前の世界に戻る方法を探すのが先決だろう、つまらない人生に戻るが、ミミックよりは何倍もマシだ。
そのためにはこのダンジョンからの脱出が不可欠だ。