表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
35/37

第12話 始まった飲み会②



「あー、うめー!」


終盤に差し掛かり、塚本部長は完璧に酔ってる…。シャンパンのボトルも何本か空いて、CEOもシャンパンを飲んでいる。


「黒崎さん、どうぞ」


奥様が室長の熱燗のお酌をする。


「恐れ入ります」

「いつも主人が大変お世話になっていると伺っております」

「はい。本当にそうですね」

「黒崎さんの話をする時はとても楽しそうです」

「室長もCEOの話をする時はとても楽しそうです!」


二人で話している中に割って入る。


「何をバカな事を言っている」

「えー?いつも会話のテンポがいいですよ?」

「戸塚の目は節穴か」


お酒も入り、室長の雰囲気も随分柔らかい。ガヤガヤハイテンション組は置いといてここはここでしっとりやろう。


「家でのCEOはやはりジェントルマンですか?」


ここで、私の野次馬根性は炸裂開始!


「え…あ、はい…」

「大人で気が利いて女子の気持ちを先回りしてくれるんですか?やっぱり」

「そうですね…」

「戸塚、プライベートを詮索するな」

「えー?」


メインはこれよ!…あれ?違ったっけ?


「…お二人はどうですか?」


更に詳しくCEOのプライベートを聞こうと思ったら逆に質問をされた…。


(さすがCEOの奥様!よくぞ聞いて下さいました!)


「めっちゃくちゃ!ラブラブです!」


隣にいる室長の腕を取って引き寄せる。


「おい」

「私のダーリンは見た目クールなんですけどね?プライベートタイムになるとデレデレなんですよ?」

「私がいつお前にデレた」

「〝お前〟なんて…私をもう嫁認定してるからこそ出る愛の言葉ですから!」

「もう飲むな、酔っ払い」

「これです〜奥様、ここがデレ!です!」

「仲が宜しいですね」

「あ、わかります〜?」


私は終始デレデレで室長の肩に頭を乗せる。


「戸塚寝るな」

「寝てません〜甘えているんでーす」

「おい」

「奥様だってこうやって甘えますよね?」


ちっともデレてくれない室長にヤキモキして奥様に尋ねる。


「え゛っ!!」

「あ、甘えないんですか?」

「…一般的にはそのような事をするのですね」

「一般は分からないけど、ラブラブカップルはいつだって二人のルールが一般ですよぅ」

「おい、いつそんなルールが出来た」

「えー?」

「やめなさい。人前だぞ」

「二人ならいいんですね?」


飲み会が終わったら二人の世界に入れるのに。急かすなんて室長ったら。


「…なるほど」


奥様は何故か納得されて頷く。そのお相手のCEOは…


「それでね百子さん、直くんが…」

「はい!」

「兄貴もう黙って」

「ブラコン炸裂だなー!」

「羨ましいです」


CEOは直くんの小さな時の話を繰り広げ出した。

それを意気揚々と聞くももちゃん、恥ずかしそうにする直くん、イジる塚本部長に直くんを羨ましそうに見る高田さん。


「お兄さんがお酒飲んでるの初めてで新鮮です!」

「そう?」

「家だと全く飲まなかったのに」

「直くんの前でカッコつけてー!」

「CEOと酒を酌み交わしたのが直くんより先とは…感激です!」


うん、こっちはもうそっとしておこう。


「さー、そろそろゲームしますか!?」


と、思ったら塚本部長が提案する。


「ゲーム?」

「じゃんけんで勝ったカップルがチューするとか!」

「塚本くん、もうお酒やめなさい」

「照れちゃって、このこのー!」

「はい、セクハラ確定。減給」

「月曜日に人事に報告致します」

「さすが黒崎くん、仕事が早い!」


やや酔ってるようだけど、CEOと室長のこのコンビネーション、お飾り重役とは違う。


これが我社のツートップだ。


(そのうちの一人は私のダーリンです!)


「俺が勝ったら高田とチューしますから」

「地獄です」

「はい、ボーナスカット」

「CEO、それはこの状況だとまだ…行き過ぎです」

「へへーん、CEO怒られてやんの!」

「これくらいは日常会話レベルだよ」

「いやー、俺は〝CEOの結婚〟より〝室長の恋人〟の方が衝撃大きかったすねー」


話題はゲームから私達へと移る。


「室長って来る者拒んで去らぬ者追い払うって感じの人じゃないっすか!会社前で待ち伏せされてるの見たことあるんすよねー」


――え、何それ…初耳!


「それが今や戸塚ちゃん一筋とは!いやー、時代は変わるもんっすね!」

「なんと!そのお話詳しく聞きたいです!」

「百子…」


ちょっと待って。私は聞き捨てならない!


「ちょっと室長!待ち伏せってなんですか!?私知りませんよ!」

「黙れ酔っ払い。なぜ一々言わねばならん」

「私彼女ですよ!報告して下さい!」

「二人とも落ち着いて。黒崎くん、今度からは報告するよね?」

「は?私は不必要な事は口にしません」

「不必要!?」


言い合う私達の間に入るCEOを無視して言い合いを続ける。


「室長!どこぞの女に追われてるんですか!?」

「いいぞー、戸塚さん、いけいけー!」

「百子ストップ」

「俺なーんか変な事言っちゃたかなー?」

「塚本くん元凶だよ」

「そうですね」

「……」


問い詰める私に加担するももちゃん、それを止める直くんにとぼける塚本部長。CEO、高田さん、奥様。


「会社で待ち伏せなど数年前の話だ」

「でもっ…!」

「いやー室長は女遊びが激しいって噂でしたよ!」

「塚本くん、信憑性の無い噂話は今後禁止」


更なる塚本部長の爆弾発言に私の頭から一気にアルコールが蒸発した。


――バッフンッ!!

こんな職場があったら楽しそうだなー。と思いました(笑)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ