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脇役女子、奮闘します!〜冷酷な彼にデレて貰いたいんです〜  作者: 獅月
第二章

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第2話 これが私の転職理由(ヒーロー視点です)

「黒崎くんは随分と柔らかくなったよね」

「仕事に関係のない会話は慎んで下さい」


私の直属の上司である我社の代表取締役CEOはこの度結婚をした。


「仕事の話をしないのであれば私は自席に戻ります」

「ごめんごめん、例の件黒崎くんに話しておきたいんだ」

「はい」



新規事業をポンポンと生み出し、成功させる。並外れた経営センスとシビアなまでの合理主義。


これが秘書である私が担当する直属の上司。


この私が恐れをなすほど、CEOは敵に回したらヤバイやつだ。


それなのに…


「たまには黒崎くんも休みを取ってさ、戸塚さんとゆっくりしておいでよ」

「仕事の話が終わったかと思えばそれですか?」


新婚で浮かれている。人の色恋沙汰に首を突っ込むなんか外道のする事。


「…社長秘書の友田が辞職したいと言っていましたが」

「ああ。もちろんフォローしたよ。これからも社長秘書続けてくれるって」

「あの友田をどうやって丸め込んだんですか?」

「丸め込むって心外だな」

「いつまですっとぼけるつもりですか?」

「なんの事?」


気づきながら、平静を装い、自分の良いように進める。



この男の元でビジネスを学びたい。


それが私の転職理由だ。この偉大なビジネスマンに声をかけられたのは私の誇りだった。


そして、私はこの日本の経済を動かす偉大な男の影響を多大に受け、合理主義を叩き込まれたと思っている。


〝室長の思想の中核を担った――〟


…私の基盤を作ったのは紛れもなくこの男だ。




✽✽


――今からかれこれ5年前


私は大学を卒業し、官僚になる為日夜仕事に追われていた。日本の経済を動かす人間になりたい。これが私の目標であった。


上司に誘われ、仕方なく行ったパーティー。そこにはこぞって経営者が集結していた。


「きみ、とても良い目をしているね」


ドリンクを受け取り壁の花になっていた所、明らかに周りの中年連中と違う若い異質な男に声をかけられた。


それが私の運命を変えた男、CEOとの出会いだった。


私も知っている大企業…しかしひと頃は株の大暴落に経営不振、終わった会社となっていた企業だ。


その経営を立て直した若き逸材、その噂は当時の私も知っていた。


だから、興味を持った。


「今の仕事はどう?」

「特には」

「自分の力が出せてない?」


…痛い所を疲れた、そう思った。入省して内外の落差に自分を見失いかけていた所に核心を突く言葉。


「僕の秘書になるつもりは無い?」

「は…?秘書?」

「有能な秘書を探しているんだ。一目で気に入ったよ」

「秘書など私の仕事ではありません」

「…やっぱり適任だよ。そのはっきりとした言葉」


…そうして私を見つめてきたこの男にゾワゾワとした何かを感じた。


圧倒的な存在感?有無を言わせぬオーラだろうか?

とにかく凡人では無い。この私が恐れをなすほどの…


「今の給料の倍を出す。きみを悪いようにはしない」


その冷酷さを感じる目に囚われたのは私も同じだ。


「日本の経済を動かす所を…見せてあげるよ」


ニヒルに笑うこの男のダンディズムにクラクラした。男に色気を感じたのは初めてだった。


落ち込んだ会社を立て直した手腕…この男なら当然だろう。

そう思わせる…目。それが、私の心を動かした。





――が、転職して数日、私は耳を疑った。


「…は?」

「PTAだよ。明日弟の授業参観なんだ。だから昼過ぎに抜けるね」


(PTA…?)


この偉大な経営者から出たあまりにも庶民的なワードに初めは何が起こったか分からなかった。


「教科は英語だって。中学生になったから英語が始まったんだ。初めて見るから楽しみだな。貴ちゃんの英語」


そう言って心底嬉しそうに微笑むCEOを見て、私の中の何かが崩れ去って行く。


それからと言うもの…


「運動会の会場設営があるから」

「…学校の先生から呼び出されたから」

「今日はラグビー部のママさん達とランチ会」


思い出したらきりが無い



……


この男は何者なんだ?


能ある鷹は爪を隠す?

…いや、隠しすぎだ。私の転職は失敗した。


そう思っていると――



「今度この事業に参戦しようと思うんだ」

「え…?こちらですか?これはそう利益が見込めないかと…」

「皆がそう思ってる。当たったら一人勝ちだ」

「…しかし」

「もう構想は済んでる。利益は1000億」


そういうCEOの目はまさに合理的な経営者…いや、勝負師と言ったところか…。


誰もがリスクヘッジで手を出さない分野を破格で成功させ切り崩す。


末恐ろしい男だ。


この男は未知数。それが5年前の出来事だった…


✽✽


「結局の所、CEOはただのブラコンおじさんなだけでしたけどね」

「…本人目の前にして言う?それ」


5年も経ち、私はこの男の事をある程度理解してきた。

このくらい言った所で奴は怒りはしない。


「その歳になってもまだ弟を〝くん〟〝ちゃん〟呼びするのは異常です」

「そうなの?」

「私はそう思っただけです。一般論は分かりません」

「直くんのこと、ここの皆も直くんって言ってるらしいからいいんじゃない?」

「更にここ最近は色ボケも加わって…」

「それは黒崎くんも同じだよ」


当時の私のショックの憂さ晴らしも兼ねて話していたら、聞き捨てならない言葉を笑顔で言うCEO…


「私は恋とか愛だとかに現を抜かす事はありません」


一緒にするなと言いたい。いくら私が奴の影響を受けていたとしても、色ボケまで侵食されてたまるか。


私は私を乱さない。

直くんが大学入学したくらいのお話ですね(*^^*)

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