表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
22/37

第22話 打開策を相談しようとしたら…

「なんか今日おかしくない?真紀子も室長も」

「由紀〜」


恒例のランチタイム。すがる思いで由紀に昨夜の話をする。



「…やっぱり要望書じゃない?」

「やっぱり要望書か〜!」


少し調子に乗りすぎた。やってしまった!


「目が鋭かったもん、真紀子」

「ええ〜?」

「うーん…〝やってやるぜ!〟…こんな感じ」

「そんなぁ!」


そんなにギラギラしてたの!?


「室長もなーんかいつもと違うしね」

「うぅ…」

「冷酷な怖さの上に怒りのコートをまとった…こんな感じ。うわっ比喩上手い、私!」

「おもしろがらないで!」


こっちは真剣なのよ〜


「CEOに相談。これ以外無い」

「それはできないよ…」


昨日だってCEOを話題に出したから雲行きが怪しくなったのに…


「どうして?室長の事一番知ってるのCEOでしょ?CEOならいっつも嫌味すり抜けてるから攻略法知ってると思うけど」

「嫌味すり抜けてるって…ディスり入ってない?」


…あ。


〝腐れ縁よ〟


友田さん…


「今日…社長って…」

「社長!?真紀子大丈夫!?社長に相談なんてチャレンジャー過ぎでしょ!」

「ち、違うわよ!ただ…友田さんに…」

「友田さん?」

「…腐れ縁らしいから」

「へー。そうなんだ、知らなかった。聞いてみたら?確か社長は今日病院の日じゃ…?」


血圧高めの社長は定期的に病院に検診に行っている。


「じゃあ午前中で帰ったかな?」

「うん、いつもそうだし」

「…由紀、私頑張る!」

「おー、頑張れ。玉砕した時の為に合コンセッティングしとくね」

「玉砕前提で話を進めないで!」




✽✽


ランチタイムも終わり、私は室長の目を盗んで友田さんを尋ねた。


「お疲れ様です友田さん…今、お時間宜しいでしょうか…?」

「お疲れ様。社長もいないし、暇してたのよ。どうぞ。」


社長室の隣に隣接された友田さんの作業スペースに通して貰った。


「何かあったの?」

「その…室長の事で…」

「黒崎くん?」


その慣れた呼び名に胸が痛んだが、私がここに来た目的を忘れてはいけない。


「室長と…腐れ縁とは、どういう意味でしょうか…?」


意を決し、友田さんを見つめる。



「…そこで何をしている」


答えを聞く前に、地を這うような低い声が突如として聞こえて来た。


この声は…


「室長…」

「仕事時間中だぞ」


現れたのは室長。室長は鋭い目で友田さんを見つめる。


「少しくらいいいじゃない。相変わらず堅物ね」


対象的に友田さんはニコニコと返答する。


「なんだと」

「ふふ。戸塚さん、私と黒崎くんはね。幼なじみなのよ」


にっこりと私を見て微笑む友田さん…


え。


「えーっ!!?」

「隠してたの?相変わらず無粋な人ね」

「お前に言われる筋合いは無い」


驚く私を他所に二人の言い合いは続く。


「小、中学校一緒で、いつも1位と2位の成績を競い合ってたのよ。高校受験でようやくお別れ出来たと思ったら…まさか貴方が私を追いかけて来るとは思わなかったわ」

「私がいつ追いかけた。私はCEOに破格の条件で引き抜かれたからここに来たまで」

「貴方がいなければ私がCEO付きの秘書だったのよ!」


!!


いつもしっとりとした友田さんが感情剥き出しの怒号をあげ、私は驚きを隠せない。


「…ようやく本性を出したな。まだCEOにつきまとっているのか」

「…なんの事?」

「CEOは婚約した。これ以上面倒事を増やすな」


(友田さんの好きな人って…もしかして…)


早口で進む二人の言い合いに私はオロオロするばかりで間に入る事が出来ない。


「婚約したって言わないで!!…そんなもの私には関係ない!」

「いい加減諦めろ」

「…私はCEOの役に立てればそれでいいの。いつか…いつかは私のものになるんですから!」

「ならん。いい加減気づけ」


(や、や、や…やっぱり!友田さんの好きな人って!CEO!!)


二人を止めないといけないとか、色々と考えて落ち込んでいた事とか、もう全て忘れて、私はこのビッグニュースに瞳を輝かせる。


「…戸塚さんも憐れね。こんな男に引っかかるなんて」

「え…私?」


急に友田さんが視線を私に向ける。その女豹のような鋭い眼光に背筋が凍った。


「黒崎くんのどこが良かったの?このすかした野郎」


友田さんが私に訪ねる。室長はそこで始めて私に視線を向ける。


ドクンと私の心臓が動いた。


「…不器用な優しさに…気づいたからです…」


かっこいいとか、いつの間にかとか他にも言える言葉はあった。


だけどそうさせなかったのは…


無表情な室長の瞳の奥が…熱くて…


「堪らなく…好きだなー…と…」


言ってて顔に熱が集中する。職場でこの二人を前にして何をしてるんだろう。



「…黒崎くんには勿体無いわよ。私が頂いちゃおうかしら」


そう言って、友田さんは妖艶に微笑みながら私に近づく。


「友田さん…?」

「女の子同士、良いと思わない?」


友田さんが私の顎に触れる。


(セクシーオーラが凄い!何を言っているのか理解出来ない…!)


「戯言も大概にしろ」


私がクラクラと目を回していると、室長の低い低い声が地鳴りのようにこのフロアに響いた。


社長秘書の友田さんとCEOの普段のやり取りは

『一生に一度の素敵な恋をキミと』の『第一章 第22話 仕事以外の仕事②』にて!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ