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第18話 形勢逆転?ヤキモチですね!

「室長、CEOはお帰りになりました」


CEOをお見送りし、室長の元へと戻った。そしてしっかりと手柄を報告する。


「そうか」

「はい」

「…」

「…」

「…なんだ」


ようやく室長がパソコンから目を離し報告したまま動こうとしない私を怪訝な顔で見つめてくる。


「いえ、決裁を…」

「…」

「…」


見つめ合うこと2秒。かっこいい。…キャッ!


「…あとで見ておく」

「お願い致します!!」


ぱあっと気持ちが明るくなって笑顔になる。これからが楽しみ!



✽✽✽


「なんだこれは」

「要望書ですよ」


懲りずに仕事終わりに食事に誘った。ダイニングバーのカウンターで料理を突きながら室長の地を這うような声に返事をする。


以前のような恐怖はもうない。


「バカげている」

「彼女の願いを叶えてくれるって言ったのに」

「想定外だ」

「男の二言ですか?」

「…」


室長とは以前よりも私が緊張していない為会話が続く。

信頼関係がある。


「どういう脳内をしたらこんな花畑のような案が浮かぶんだ」

「あ、お花畑、いいですね。今度一緒に行きましょうよ」

「…」

「私最近知りました。室長って無表情かと思ったら、その奥に感情が見え隠れするんですね」


ただの無表情ではない。よく見ると無表情の奥に喜怒哀楽がしっかりとある。


それを…知ることが出来た。


「…随分と言うようになったものだな」

「はい。室長は優しいので本気で怒ったりしませんから」


自信を持ってしっかりと伝える。優しい室長はこの関係を続けていくときっと私に情が芽生える。


情が芽生えたら…


私はそこを狙っている。



「いいじゃないですか室長。決裁を下さい」

「…」

「手を繋いだり、腕を組んだり、頭を撫でたり。甘ーい甘ーい恋人生活を送りましょうよ」

「私の女避けだというのを忘れたのか」

「避けれますよ。こんな事してたら」

「…」

「こんな都合のいい女、他にいませんよ」


言ってて悲しくはなるが、今はそんな事言ってられない。


「…そんなに自分を蔑むな」

「はい?」

「戸塚だから頼んだ。それだけだ」

「…え」


〝戸塚だから〟…それって…それって…!


「勘違いするな、それくらいで喜んでどうする」

「まだ何も言ってませんよ」

「そんなに熱い目で見られるとな」

「私ってわかりやすいですか?」

「私が付け入るほどだからな」


そうか…わかりやすいのか…私


「…ではやはりCEOは私の気持ちに気付いてお膳立てを…」


室長と接点を作ってくれたのはやっぱり…


「…なぜそこにCEOが出てくる」


いつもの無機質な声。だけど少しいつもより低い。


…怒ってる?


「室長とこうしてお話出来るようになったのもCEOが私の気持ちに気付いて接点を作って下さったおかげかと思いまして」

「どういうことだ」

「食事会の付き添いに抜擢頂いたりですとか」

「直接言われたのか」

「いえ…結局分からず仕舞いで」


なんか…被告人質問みたい。


「…だったらこれ以上誤解を与える行動は慎みなさい」

「誤解…?」

「言っただろう。CEOに肩入れするなと」

「そうですけど…」


やっぱり…やっぱりなんか怒ってる…!


「…お前は私の事が好きなのでは無かったのか」

「…へ?」


(どういうこと?)


室長を見るとなんかちょっと…


無表情の奥に…ちょっと…


これって、これって…


「…ヤキモチ?」

「何を寝ぼけた事を言っている」


ボソッっと呟いた言葉に間髪無く言い返されてしまった。


「いえ、室長認めましょう。これはヤキモチです」

「寝言も大概にしなさい」

「だって今不貞腐れてましたよ!?」

「なぜ私が不貞腐れ無ければならない」

「ぶすっとしてました!ぶすっと!」

「戸塚の目は節穴か」

「ほら、言い訳ずっとしてますし!」


私の言い分に間髪無くツッコミを入れる室長はきっと図星だったに違いない。


私はそう思ってもいい!きっと…絶対そう!


「室長…もう認めましょう。女避けなんて口実ですよね?」

「思い上がりもそこまで来ると芸術だな」

「元美術部ですから…って違います!」

「美術部のわりにはセンスが今ひとつだ」

「ほら!そんなに必死に話しそらして!」

「私がいつ必死に話をそらした」

「今ですよ、今!」


もう〜埒があかない!


「あのーお客様…」


なんとか室長に肯定してもらいたくて私の気持ちにも熱が入っていると、店員さんから声をかけられた。


「他のお客様のご迷惑になりますので…もう少し声のボリュームを…」


(なんですって!!)


「すみません、ご迷惑おかけしました。もう出ますのでお会計を」


店員さんに注意され恥ずかしさに意気消沈し赤面していた所、室長は微動だに動じず店員さんとやり取りをしていた。


(…大人の男性、かっこいいな)




「あの、室長…」

「…」

「ご馳走様でした…迷惑かけてすみません…」


店を出て先程の一件を詫びる。私がエキサイティングしたせいで室長に恥ずかしい思いをさせてしまった。


「別に気にしてなどいない」

「スマートに対応して頂きありがとうございました」


どうしてこうなったか…今冷静に考える。


それは…


「私が…室長の事をお慕い申し上げておりますので、室長も同じ気持ちだったら、と思って…」


(ヤキモチだったらいいなぁって…)


あーどうしよう。ここから続きをなんて言ったらいいかわからない。

結局告白だし、これ。もう前にしたような感じになっているけど…


今、初めてちゃんと…口にした…

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