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第12話 CEO、私は貴方を使わせて貰います!…無表情な彼が…笑った?

結局あれからCEOには何も聞けず言えずじまいでその場を後にした。そしてやってきたのは室長の目の前。


「CEOに伺った所、褒めて頂いたと伺いました。ありがとうございました」

「…」


先程のCEOとの話題をあげると、当の室長は無言。そして視線すらくれない。


「あのー…」

「私は褒めたつもりはない」

「え?」

「CEOが同意を求めるから話を終わらせる為に返事をした。それだけだ」


視線はパソコンに向いたまま、冷たい、無機質な声――


…あー、そういう事でしたか。CEOが私を褒めてくれて、それに返事をしたのをCEOが〝黒崎くんが褒めていた〟と。


そうだよね。CEOは褒めて育てるタイプだから…納得。


「そのCEOから室長のサポートをして欲しいと頼まれました。何かお手伝い出来る事はございますか?」


だけど怯まない。私は決意のこもった目で室長を見据える。


「無い」

「CEOからの命令でございます」


私の中の何かが外れるように、私は冷静に室長に意見する。

申し訳無いけど、CEOを使わせて貰おう。日本の社会は縦社会。上司命令に逆らう事は難しい。


「社内機密を知っている室長をサポートして欲しいとのご伝言でございます」


大丈夫、私のバックにはCEOという強い味方がついている…はず。それなら室長にさえも強気でいける。


「…分かった」

「…」

「だったらこれを。入力してくれ」

「――はい!」


半ば諦めたように、私の顔を見ないまま資料を差し出してきた。


強引に進めたようだけど、これでまた接点が出来た。


(だって…私を褒めていたというのがCEOの気遣いだった事にがっかりして…)


でも、逆に取ればこれはCEOからのアシスト


利用しない手は…無い!




✽✽✽


「お、終わらない…!」


室長との接点を持つために獲得した仕事。この仕事をしてる間は質問に行ってもおかしくない。室長も応えてくれるはず、と天にも登る気持ちで始めた…



(何このボリュームッ!)


入力するだけ。特に質問もコミュニケーションも必要ない。

そして、丸半日やっているのに終わりが全く見えない。


「あのー…室長」

「なんだ」

「こちらはいつまでに仕上げたら宜しいでしょうか?」


今日中には確実に無理な為、室長に伺う。


「…」

「きょ、今日中ですか!?」


室長の無言に圧力を感じた。


「今日中が無理なのは分かってる今週中に仕上げてくれればそれでいい」

「ほんとですか!?良かった〜」


肩の力がやっと抜け、安堵する。


「…昨日の威勢はどうした」

「え?」

「忘れたのならそれでいい。定時だ、早く帰りなさい」

「え。あの…」


会話を終わらせようとする言葉。分かっているが終わらせるわけにはいかない。


最初の言葉は室長からの質問と受け取らせて貰おう。


「酔った勢いも入っていました」

「…」

「室長もCEOもお酒強いですね。よく飲まれるのですか?」


うん、自然な流れだと思う。ここから会話を広げて…


「…これからCEOの会食に付き添う気があるのなら、自分の許容範囲を知っておけ」

「は…」

「仕事の場だ。無計画に酔っていい場ではない」

「…」


室長の言うとおりだ。昨日はただの飲み会ではない。CEOの会食となれば今後の我社のビジネスが絡んでいる。


勧められるまま何も考えずに飲んでた。秘書としてついていったのならやるべき事があったのに…


ここで会話を広げて、室長を食事に誘おうとしてた…私。


バカみたい。



「飲めないのなら飲まない事だ」


落ち込んでいた私に室長が声をかける。無機質な、声。

だけど…きっと怒ってるわけではない、室長なりのアドバイス。


「はい、ありがとうございます」


なぜそう思ったか。…それは室長が私の目を見ていたから。


いつもパソコンから目を離さない室長が手を止めて、私を見て…


「〜…!」


滅多に合わない視線が合わさった。それだけで顔に熱が集中する。


本当に綺麗な顔。美しすぎて凝視出来ないほど


「今日中では無い仕事に残業代は出せん。早く帰りなさい」

「はい…室長は今日も残業ですか?」


目が合っている、その事実が私を突き動かす。


「いや、私も今日はもう帰る」


返事を…してくれた!


「で、では駅までご一緒しませんか!?」


私の中の勇気を総動員して誘う。


「…酔っているのか?」

「へ?」

「威勢がいいからな」

「え、あ…ち、違っ!」

「冗談だ」


あ…


「笑った…」


あの室長が。

一般の人と比べたら無表情だけど確かに一瞬…


見過ごしてしまう程度の


「…私を何だと思っている」


つい心からふと出た言葉に室長は怪訝な顔をする。


「室長が笑った…」


どうしよう、嬉しい。初めて見た室長の表情を…無機質な無表情以外の…


「そんなに面白いか」

「え?」

「戸塚の顔が緩んでいる」

「えっ!?」


慌てて自分の頬に両手をそれぞれ乗せる。頬の熱が手に伝わってくるのが分かる。


「…帰るぞ」

「えっ?あ!ま、待って下さい!」


私から視線をパソコンに戻し、帰り支度を始める室長に私も慌てて自分の席に戻り、パソコンを終了させる。


(…これは、一緒に帰っても良いという事、でしょうか?)


余計な事を考えている暇は無い。私は頭をプルプルと振って帰り支度を済ます。


まだ、胸がドキドキしてる――


あの室長の笑顔を…

お酒が強いと評判のCEOですがお酒好きなのか真相は如何に!?

答えはシリーズ小説〝一生に一度の素敵な恋をキミと〟の

〝第9話 転機。友達?知り合い?二人で会うことに〟にて!


またシリーズ小説〝直くんとももちゃん、初恋の行方。〟の

〝第三章 八つ当たり〟にも出てきております(*^^*)


宜しければこちらもお願い致します♡

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