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おまけその八 ヤツルギ国騒動記~記者会見の巻


「ふむ、、、、カガリのやつは相変わらずなのか」


「はいハクレン様、それとなく話を振っても全く興味を示すことありません」


明日には日本に到着するという”ひゅうが”の船内、ハクレンがカガリの配下、オセンやオチョウの報告を

受けていた。2人は言葉巧みにカガリに対して、”ニホンではこういうものが流行っているそうですよ”などと

日本の様々な流行りものにさりげなくBLも加え、せんの、、、、もとい同志にするべく活動していたのだが、

彼女はまったく興味を示すことがなかった。ちなみに、配下の者がすでに腐っていることに、カガリは全く

気がついていない。


「まあ、趣味に合わぬのなら仕方がないのう、、、、”聖地巡礼”は我らだけで行うとするか」


「「ははっ、例え地の果て天の果てであろうと、ついて参ります!」」


字面だけ見るといかにも忠義に厚い影の者、なのだが、実際は護衛にかこつけて本場のBLを楽しむ気

満々なのが丸わかりだ。ちなみにその頃カガリは自室で・・・・


「ううっ、アコウロウシこそ忠義の鑑、なのでござる」


忠臣蔵のDVDを見て、滂沱の涙を流していた。時代劇は他のメンバーにも好評で、ビゼンやオグリは

水戸黄門、カークは鬼平犯科帳がお気に入りだったりする。ともあれ、ヤツルギ国一行は無事万理の波濤

を乗り越えて、日本の土を踏んだのであった。


「いやはや、コイツは想像以上だねえ・・・・」


(それがし)は、夢でも見ておるのかのう・・・・」


「皆の者、我らはヤツルギ国の代表として来ておるのだ。しゃんとせんか」


初めて見る東京の風景に、カークやオグリ達も気後れしてしまう。それを代表のビゼンは叱咤する。彼らは

その言葉に凛とした佇まいを取り戻すのであった。一行は日本政府の用意した車で都内のホテルへと

向かった。今日は記者会見の後、政府主催の歓迎晩さん会に出席するスケジュールとなっていた。


「お、ヤツルギ国の使節が出てきたぞ」


「わあ、、、、本当に昔の武士みたいだなあ」


しかし、微妙に異なるところもある。まず彼らは髷を結っていない。時代劇を見てた一行は、”あんな髪型で

よく寝られるのう”などと思っていたのだ。それと帯刀もしていない。刀は有事か街中を警備する時に持つ

ようになっていた。


「我らヤツルギの民を暖かく迎えてくれたニホンに、このビゼン使節代表として感謝いたし申す」


最初にビゼンがあいさつを行い、質疑応答に移っていく。少しして記者の1人が巫女装束のハクレンに興味

を示したようで、彼女に直接質問をした。


「ハクレンさんは、龍神さまとしてヤツルギ国の守護神であるとお聞きしましたが」


「うむ、その通りじゃ」


「すると、失礼ですが実際は千さ、、、「いや、妾は永遠の24歳じゃ」」


ハクレンは、記者の言葉を速攻で遮った。


「えっ、でも建国からの、、、、」


「だから、妾は永遠の24歳じゃ」


その瞬間、会見場の気温が一気に氷点下に冷え込んだ。質問した記者も周りから”それ以上突っ込むと、

セクハラになるぞ”などとたしなめられ、作り笑顔で”はい、ありがとうございます”と大人の対応をしたので

ある。しかし、ここにあえて地雷を踏む勇者が存在した。


「ははは、ハクレン様も相変わらず歳気にしてるねえ。ヤツルギ国じゃみんな数千歳って知って・・・・」


”ズッシャアァァァァァァン!”


カークの言葉は最後まで続かなかった。彼は、なぜか室内で落雷の直撃を受け、プスプスと焦げ臭いにおい

を巻き散らかしていたから・・・・


「あ、あのー、、、、カークさんなんか炭化してますけど・・・・」


「心配ない、こやつはこれくらいではくたばらぬ。すぐに復活するぞ」


記者の質問にさも忌々しそうに答えるハクレン、ビゼンやオグリたちも呆れた顔をしている。どうやら、カーク

がハクレンに不躾な言動をしてお仕置きを受けるのは、これが最初ではないらしい。司会をしていた村上は

”じゃ、じゃあ今日の会見はこれくらいで”と、引きつった表情で締めくくるのであった。


「全く、カークのやつめ、相変わらず”でりかしぃ”とやらに欠けておるぞ」


「私も最初はカークさんいい男、と思ってたんだけどねえ、、、女性の年齢を揶揄するなんて最低よ」


ハクレンや高橋だけでなく、この記者会見をテレビで見ていた全ての女性から、カークの評価はだだ下がり

になったとさ・・・・


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