ムカつくのよ、うざいのよ、邪魔のよ
聞き覚えがある。いや忘れる訳もない。なにを隠そう、今ちょうど話題に出ている迷子の勇者の声だったからだ。
オレが背後へと首だけ振り向くと、後ろの方で、赤や青、黄色、黒、白と言ったカラフルな薔薇がいくつも描かれた金色の金具と木でできたの扉が現れた。その扉の金のドアノブがガチャリと回り扉が開く。
「あんた・・・」
現れたのは声の主である、迷子の勇者だった。開けた扉の向こうは水銀のようなドロドロ何かがうごめくような世界が広がっている。彼はそこからぬるりと出てきたのだ。
「ああ、取込み中だったかな?」
扉を閉めると、その扉はうっすらっと透明になって消えて言ってしまい。そこには扉の跡形はなく、何食わぬ顔をした迷子の勇者だけが残っていた。
「お前――」
神様が目の前の迷子の勇者に驚愕して、目を丸くしている。
「どうやって我の空間へ入ってきたのよ。ここにはどこにも入口はないはずなのよ」
荒げた声で神が言う。
「どうって――見ての通りだが?」
対して迷子の勇者は落胆した模様で、肩をすくめて見せる。なんだ、この温度差は・・・。荒々しく、荒れている神様に対して、迷子の勇者はなんのことやらと、とぼけた顔でいる。
「我の聖域にすら踏み込むとはムカつくのよ、うざいのよ、邪魔のよ」
神様はついに拳を肘掛けに叩きづけるだけではなく、足をバタバタとし始めた。もうなんだろう・・・。こうしてみると、駄々をこねている子供にしか見えない、いや、見た目子供もだけど。幼女だけども・・・。




