見えないはずだ
「へえ、あなた達はちゃんとしてるんだ」
霧の中で見えていないははずだが、声で位置が分かるのかこちらを見て女の子は言う。
正式な契約を交わしている太刀ならいくら魔力を斬るナイフでも切断されることはない。
だから、斬り合いをして問題ない。
オレは再び走り出し、今度は正面ではなく背後に回り込み女の子に斬り入れる。
キンッキンッ――。
斬り入れるも、女の子はそのつど反応してナイフで弾き、飛び引く。
キンッ――キンッ――。
見えていないはずなのに、どうしてこんなにも正確に守れる?
オレは疑問に思う。
霧は視界を殆ど隠して目の前に立ってもギリギリ見えるか見ないかぐらいだ。
見えるはずがない。
だがやはり・
キンッ――。
太刀弾かれる。
「クッソ」
もどかしさにオレは悪態を漏らす。
「ははっ、視界を塞げばいけると思った?」
たんっと大きく後ろに女のが跳ねオレから距離を取り言った。
どうしてだ・・・どうしてああも正確に避けられる。
今までこんなことはなかった。この霧を出せば大抵の敵は回りの見えない危うさに動きを封じられ何もできなくなる。
なのに何故、あの子は平気に動き回れる。
「なんでか?簡単だよ」
オレの疑問の表情が見えているのか女のが答える。
「あなた、殆ど人間と戦ったことがないでしょ?どうせ魔王軍っていうのは魔物の軍団だった。だから人と戦った経験が少ない、それもフィーみたいに小さい女の子と戦う機会なんて普通はありえない。動きを見れば分かる。あなた人と戦うのは素人。これでもフィーは色んな人たちと戦ってきたからね。だから――大体の動きは予想がつくの。剣の振り込まれる角度、その重心。足音。動きによって微かにできる風。場所を知りえる情報はいくらでもある。まあ、あなたの場合そんなもの感じ取らなくても動きが単調だから予測がつくんだけどね。――つまりはね、場数が違うんだよ」
そう言って女の子は走り出す。
見えないはずのオレに向かって。
「どこにいるかも大体予想がつく」
まずいと思い、横にオレも走るも、それに合わせ女の子は並走する。
マジかよ!?




