二人だけの永遠と迷子の森
ネベラが優しい声で唄い始める。
「どこにもいかないで、先にいかないで、やめて私は直ぐにあなたを見失ってしまうから。
だから私は迷子になった。一緒に居た人もみんな置いて行く。
私はいつも置いてかれる。どうして置いて行くの。
ねえ、どうして?どうして置いて行くの?
みんな消えていく。いつの間にかいなくなっていく」
いつものネベラでは考えられない、透き通った声。
弱々しい声で小鳥のさえずりのように唄を奏でる。
「一人にしないで。
ねえ。なぜ?
みんな私を残して消えてしまう」
唄に自信の思いを乗せ、儚く切なく。
これが私だと言わんばかりに。本来の自分自身を語る。
「一緒に入ったはずなのに、私だけここに残されている。
寂しい、寂しい、一人きりの私は必死に抜け出そうともがく。
それでも、私は抜け出せない。
進めど、進めど、同じ景色」
泣き出しそうなその声をオレは全てを聞きながら受け入れる。
悲しき少女の物語を、その思いを。
「だから私は抜け出すことを止めた。
そうだ、抜けられないのならみんなみんな迷わせてしまおう。
そうすれば寂しくない、ずっとずっと一緒」
ネベラの唄にオレは答える。
その答えは違うと。お前は間違っていると。
オレは唄う。
「愚かな子だ。お前は抜け出したしたいのだろ。
本当は泣きじゃくり、取り乱し、慌てふためき程に抜き出したい。
その牢獄から」
ただ、幸せになって欲しいその気持ちで。
お前はそうじゃない。そう思っていないと。強く強く。
彼女を救うために。
「だがいいだろ。お前が抜け出せないというならば、我は迷おう。
お前が寂しくないよう。お前が泣かないよう。迷おう。
ずっとずっと一緒に居てやる。
だからどうか泣かないでくれ。我が望むの暖かく温もりのある笑顔なのだから。
それさえあればこの凍てついた牢獄でも我は幸福だ」
オレはお前さえいればいいのだと・・・。
オレの思いにネベラが答える。
「私と共にいてくれるの?
うれしい、うれしい、ああうれしい。
アナタがいれくれるのであれば私は寂しくない。
この逃れられぬ迷宮で共に迷いましょう。
アナタがいるのなら私はこの、マヨヒガの中でも幸せなのだから」
喜びは触れた声で彼女は答えた。
答えは出た。
オレ達は常に一緒なのだと。
誓いを果たすかのように優しく二人で唱える。
『<<覚醒>>二人だけの永遠と迷子の森 (ドゥーエブレディシー・エテーノフォレスタ)』
告げると、周囲は白い霧に覆われていく。




