約束よ
周りの視線がオレ達を見る。
勇者という声が聞こえる。
これだ、数十日間オレを悩みに悩ませた、挙句の果て大事なことを忘れさせた。
勇者。
その肩書がオレの判断をおかしくさせた。
よく考えてみろ、悪口を言われるような場所で飯なんて食ってられないだろ。
それでも、オレは勇者だからと見えを張った。勇者であるから責任はあると。
そのせいで、肝心な事も忘れて、こうやってルナを泣かせて、あほらしくて笑えない。
オレもやっぱり・・・。
「オレは勇者なんかじゃない。世界を救う勇者なんてそんなものするような柄じゃない。ただ――オレはこいつらの勇者。それだけいいんだ。だから――ルナ、取り返そう」
サル顔の男と鳥顔の男に言い、最後にもう一度しゃがみルナに行った。
「タクミ・・・」
もう半泣きの状態で、オレを見るルナ。
「何言っちゃってんのお前、なにキザっちゃってんの?きもいよ。もういいよ、ガエル様やっちゃってよ」
「来な――勇者。お前とやってみたかったんだよ」
鳥顔の男が言うと、サル顔の男は背負っていた金色の剣を抜いた。
「ごめんなルナ。オレがバカだった。許してくれないか?」
オレはルナに頭を下げる。
「ば・・・バカね・・・」
涙を流し始め、泣き。
その涙を袖でぬぐいルナは言う。
「剣もう一本買ってくれたら許してあげるわ」
いつものように強くとがった瞳でオレに向かって言った。
「何でも買ってやるよ」
「約束よ」
「ああ」
オレは立ち上がり、ルナは光の球となり、それから月のように白い長剣へと姿を変え、オレはそれを手に取った。




