用はある
「ルナ!」
飛び出し叫んだ。
「ブラックシュート」
オレが飛び出したとほぼ同時にルナがサル顔の男に魔法を放つ。
黒く細い光が真っすぐサル顔に向かって飛び。
パリンッ――。
サル顔の男の鎧に触れると、ルナが撃った魔法派ガラスのように粉々になって黒い光がチリ消えた。
「なんで!?」
「ハハン、魔法無効の鎧だよ、ボクとガエル様のよりは特注品でね。そんなちんけな魔法じゃびくともしない。だろ?がエル様」
鳥顔の男が自分の事のように自慢そうにいう。
「っ――」
ルナが涙をこらえ、歯を噛み締めている。
「ルナ」
そのルナにオレは駆け寄った。
「何しに来たのよタクミ!用がないなら戻りなさいよ」
荒々しくオレに言うルナ、その声は必死に抑えているが涙ぐんでいる。
「ハンッ、なんだ勇者」
言うサル顔の男。
「ルナ、用ならある」
泣きそうでオレを嫌がるルナに、オレはしゃがんで頭をなで手上げ、そして微笑む。
それから立ち上がり、サル顔の男と鳥顔の男を見る。
「それ、返してもらえないですか?いや、返してもらえないか?」
オレは、堂々と、ルナをかばるように立ち言う。
「はああん!何言っちゃんのお前」
鳥顔の男が言った。
「フンッ」
サル顔の男はただ、オレの言葉に鼻を鳴らす。
それに、鳥顔の男は更に調子にのり、
「ねえ、勇者が一度言ったこと曲げちゃっていいわけ、世界を救った勇者がだよ?みさなーんここにいる勇者はうそつき野郎ですよー。魔王も本当は倒していないんだー」
周りの人たちに聞こえるよう大きな声で言う。




