ギルド評価
お姉さんが注文を承って、スタスタと裏方へと引っ込んでいく。
「人の話聞いてんの!?」
バンッ――!?
能天気に注文なんか取るオレにルナは怒って、机をたたき身を乗り出した。
「まあまあ」
「まあまあじゃないわよっ、さっきから聞いてれば国の犬の癖にとか、なにが勇者だとか、自分は何もやってないのにって――、アンタバカにされてんのよっ!」
ルナが机に乗り出し、店内に居る全員に聞こえる大きさの声で怒鳴る。
その怒鳴り声に回りの人間はオレ
たちから顔を逸らした。
「落ち着けって」
取り合えず、ルナを椅子へと座らせる。
「大体、事実だ。オレは魔王討伐の際、殆ど何もしてない」
そうだ、なにもしていない。
なにもさせてくれなかった。
魔王城攻略の際、
第一陣にギルド連合商会の遊撃手。
第二陣に各国の軍。
そして――一番、後方にオレだった。
魔王城へ一番危険な状態で一番命がけで真っ先に攻め込んだのは、紛れもないここにいる遊撃手たちだ。
何人もの犠牲を出した上に開かれた道を、国軍とオレは通ったに過ぎない。
魔王への道はハッキリ言って、遊撃手と国軍の兵士が開けてくれた道を無傷に通っただけ。
だから、オレが戦ったのは魔王との直接の戦闘のみ。
そんなオレが彼らに目の敵にされない訳もない。
命を削り、仲間を失い、それだけのことをしてもなお、各国は北の国の猛反発によりギルド連合商会には一切の報酬を与えなかった。
その上、オレを勇者として祭り上げているのだから、胸糞悪くて仕方ないだろう。