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ネベラの仕込み
愛の逃避行って言っても大それた逃亡激を繰り広げたりしないが。
闇に紛れて逃げるが勝ちってやつだな。
言い方によっては夜逃げみたいな。
まあいいや。
「寝ている二人を起こすのは気が引けるから寝たまま運ぶか」
「二人は抱えては無理じゃろ」
だろうな。
「ならルナだけ起こすか?」
「ふむ・・・」
ネベラが顎に手を当て考える。
「そうじゃな。じゃがその前に」
同意して、オレの前にネベラが向き直る。
「なあ、我が主どの」
「なんだ?」
起こしに行こうとしたオレをネベラは止める。
「・・・すまんな」
そう言って暗がりでよく見えないが、ネベラは凸のない胸元から札を取り出したようだ。
「ああ、残念だったな。オレの背中に張った術札は剥がしたぞ?」
暗くて見えてるか見えてないか分からないがぴらぴら振って見せる。
「お主いつの間に」
そりゃこっちのセリフだ。
まあ、キスしてきた時なんだとは思うが――。
どういうつもりか知らないけれども、ネベラはオレの背中に術札を仕込んできていたのだ。




