望むところです
「ッ――!?」
突然、眩い閃光がオレと美代の丁度で間に輝き、その場にいた全員が、眩しさに目元を覆う。
光は弱くなり、そこに一人の女の子が現れる。
「神様!」
そこに居たのは神様だった。
長い銀の髪を地面に散らばらせ、真っ白な長い布をたらし、宙に少し浮いた状態で彼女は姿を現した。
「いい加減にするのよ」
ここにいる全員を凝視すると、神様は淡々と告げた。
「なんだ――ここの神様は傍観専門だと思ったのだがな?」
おどけた顔をするローゼンが問う。
「もう我慢の限界なのよ。――お前も。お前も。――勇者、お前もなのよ」
荒げた声で、それぞれ右手で順番にローゼン、美代達と指を指して睨みつける。
オレもなのか。
「申し訳ございません。ですが――今少し待ってもらえないでしょうか?」
「無理なのよ。だいたい、お前たちが来なければ解決していたことなのよ。我はお前たちの事情などしらない。関係ない世界のことなんか持ち入れなで欲しいなのよ。――ほら、さっさと出ていけなのよ」
頭を下げる美代に、神様は乱雑に言い散らす。
その様子に、ローゼンがヤレヤレとため息をついて、持っていた氷の剣を消す。
「――だとよ。悪いが俺は行かせてもらう」
そのローゼンの態度に、美代が苦い顔をした。
「まっ、しかたないわいわねぇ」
まったく残念そうに見えない様子の可憐だが、彼女も持っていた釜を白の光と共に消した。
「仕方ありません――ここは引きましょう」
可憐の様子をみるなり、神様をもう一度見た美代は仕方なく刀を光と共に消し、手のひらに残ったドックタグを左右一枚ずつを首の飾りへと戻した。
「――ですが、異端者。フィーさんのことは報告させてもらいます。次あった時は彼女ともども捕まえて見せますよ」
美代の後ろにこの世界に入ってきたように、蒼く黒く光る渦のゲートが姿を現す。
「そうか……、だがもしフィーに手を出すのなら。その時は――」
「望むところです」
美代が薄く笑い振り返り後ろの渦へと歩いて行く。
それに続き、可憐も渦に消えていく。
最後には渦は次第に小さくなり、そのには何も残っていなかった。