あの子のことだろう?
フレデリカが入って行った屋敷の扉が開き、フィーが出てきて、トボトボとこちらへ歩いてくる。
その表情は、何故だか落ち込んでいるように見える。
フィーがローゼンの横へと立つ。
「気にしているのはあの子のことだろう?」
ローゼンがネベラに抱かれるルナを視線で刺し、言う。
そうだ。
フレデリカの洗脳は解けた。
けれど起きない
いや、起きているんだろうけど……。
ルナは、瞳と開けているが、その瞳に生気はなかった。
まるで人形のように、ルナの体は魂が抜けたようにだらりとしていた。
だが、それにフィーがなんの関係が?
「まず俺から。すまない……俺の配慮が足りなかった」
「え?」
予想外にもローゼンが頭を下げた。
けれど、オレにはその趣旨が理解できない。
なぜ、謝る?
「陛下が謝罪する必要はありませんっ。全てはフィーがいけないのですっ」
そんなローゼンを見て、エリザベートが反論した。
「黙れ。理由はどうあれ、俺はの意識不足だ。ケジメはつける必要はある」
顔を上げたローゼンが、今まで穏やかだった瞳をキッとさせ横目でエリザベートを睨みつけ、今までの態度からは思えないぐらい、強い口調で言った。その口調は怒りを感じられた。
それに、横に立ち顔を俯けるフィーは強張り震え、エリザベートは慌てて、申し訳ありませんと引き下がった。