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放しなさい!
「もうよしなさい」
小さく、優しい言葉が、フレデリカへと送られる。
「……っ!?」
その状況に、何が起きたのか分からないという表情をしたが、フレデリカは直ぐに怒りを浮かべる表情へと戻り、エリザベートを離そうと暴れる。
「――この、放しなさい!なによ、バカじゃないのっ!バカバカバカッ――!」
腕を振り、暴れるフレデリカ。
けれど、それでもエリザベートはフレデリカを離そうとはしなかった。
どういうことだ……?
目の前のエリザベートの行動に、オレは疑問に思いながら、警戒を解いた。
「大丈夫」
不意に、オレの横まで来てエリーゼが言った。
「エリーゼ?」
気づいたオレに、エリーゼはペコリと頭を下げた。
「これはどういうことだ?」
どうやら、戦意はない様子のエリーゼにオレは安心し、目の前で起きていることがどういうことかオレは聞いた。
「多分……。優しいエリザには、あの子を見ていられなかったんだと思う」
見ていられなかった?
言われて、二人を見直す。