ばっかじゃないのかしら?
「ルナ?」
「ダメだよ、おにいちゃん……」
え?
戸惑うオレに、ルーチェが何かに気づきいたようだ。
「ルナちゃんも街の人たちと同じ。誰かに操られてる」
操られてる?
聞くオレは目の前のルナを再び見る。
虚ろな瞳、感情の無い表情。魔力を見ることができるルーチェは魔力を見て判断したんだろう。――ならそれに間違いはないのだが……。
どうして?誰に?
………ローゼン!
オレはローゼンを睨む。
「俺じゃないさ」
オレに気づいたローゼンが言う。
ローゼンじゃないって言うなら、じゃあ誰が………。
「あーあバカみたいバカみたい」
戸惑うオレ達三人を前に、エメラルドグリーンの少女がそう、吐き捨てた。
「こんな簡単な事も分からないなんてね。ばっかじゃないのかしら?」
笑み薄く浮かべ、無邪気にオレ達をさげすむ幼女。
「まさか……キミが……?」
「ええそうよ。始めまして、勇者さん。フレデリカと申しますわ。今日はとてもいい日ですわね」
フレデリカと名乗った幼女は、両手でスカートの先をつまみ、左右を上げ、礼儀正しくまるでダンスに誘われた姫様のようにお辞儀をする。
「どうしてそんなこと!」
「どうして?」
そう言うと、ルナを自分へと抱き寄せ、無表情の顔へと手を伸ばし、抱きしめるようにして撫でる。