唄
「ルナ一撃で決める」
「うん」
突っ込んでくるトーリの攻撃をさばき、ルナに声を掛ける。声をかけられてルナは長剣のままでもオレに答える。
そして剣を弾き唄い始める。
「夜を照らす月を見上げその瞳は何を浮かべる」
続けてルナも唄う。
「天命が下った時代 私は後悔をした。
それは冷たき暗闇の中で それは白く照らす月の下で
一生悔いいる程の大きな後悔」
――キンキンキン!剣が打ち合う。オレが続ける。
「そうか、ならお前はどうする。
後悔に打ちひしがれ己が愚かさを呪うのか」
カンッキーン!
ルナを剣を振り払う。それでもルナは続ける。
「私は思う。きっとそれはいけないと。
この身が裂けようと痛みが続こうと。
進み続けなければいけない」
「そうか、なら進め己が身が消えようとも。
きっとそれが、お前の力となるだろう
月明かりが満ちる時 お前の痛みはきっと消える」
キンキンキンキ――ン!!
「唄わせない!<<剣落>>(ブレードレイン)!!」
無数の剣が飛び交が、それでもオレ達は唄い続ける。
「どうか見守っていてください。
優しく闇夜を照らす月のように。
私の痛みが消えるその時まで後押しください」
「見守ろうとも、我が身が消えようとも
お前の傷が痛みが消えるまで私は待っている」
大きく跳躍してトーリから離れた。
そうしてオレとルナは二人で、
『<<覚醒>>故郷の月と黄昏の痛み(ドローディエ・リーアンカエスポロ)』
長剣であるルナを天に掲げて唄い放つ。