名前?
迷子の勇者がやれやれと呆れたかおをする。
「だから言われているだろ?利害が一致しないと。まあいいさ。邪魔をするならすればいい。だが、俺の前に立ちはだかるというなら、次は容赦はしない。それを肝に銘じとくんだな」
言われ一瞬、ぞくりとした感覚がよぎる。
「気が済んだならさっさと出ていくのよ」
「はいはい」
神様に言われ、来た道を戻り始めた。
ここへ入ってきた時のように、色とりどりの薔薇が描かれた扉が現れ、それに手をかける。
「まっまってくれ」
つい、それをオレは呼び止めてしまう。
「なんだ?」
扉に手をかけた迷子の勇者は振り返り問う。
「あんた、名前は?」
「名前?そんなもの忘れてしまったよ。長く旅をしてると色んな呼び方をされるからな。そうだな――ロキ、カリオストロ、ヘリオス、サンミジェル、ミカエル、ファルス――あらゆる呼び方をさたが。起点となったのは……ローゼンクロイツァー。そうだな、ローゼンとでも今は呼んでくれ。物語が違えばまた別の名前かもしれないがソレは俺の気分だ」
そう言って、ローゼンはじゃあなと手を振り、扉を開けた。
開けた先は、いくつもの絵の具を混ぜたぐにゃぐにゃとした空間が広がっていて、彼はそこに溶け込むように入り扉をしめていった。
最後に残った扉も、跡形もなかったように透明になっていき消える。




