守りたいもの
「物語はこの世界の成り立ち。真理。アカシックレコード。森羅万象。真実。根源。摂理。それらに該当するモノだ。つまりは、決まった未来ってことだな。まあ、今はそれがぶっ壊れていてまともに機能してない状況だが………。で?目的か……?ちょっと助けたい子がいてな」
「助けたい子?なら、その子を助ければあんたは出ていくのか?だったら俺も手伝って……」
俺がそう言うと、迷子の勇者が小さく笑い。
「なら、俺らと一緒に国を滅ぼすか?」
そう言った。
国を滅ぼす。誰かを助けるために………?
「人っ子一人でそんなことをするのかって顔だな。ああ、するよ。俺にとって国の一つや二つその程度。あの子にはそれだけの価値があると思っている。そう睨むなよ――これでも、まがいなりにも勇者だからな。勇者ってのは誰かを助けるためにあるものだろ?俺は俺の好む者を守ってるだけだよ。とは言え、俺も国を亡ぼすのやりすだと思うがな。けどまあ、ただ……今回その子がそれを願っているだけな話だ。だから、その願いを叶えてやるつもりなだけだ。どんなけ無意味なことでもその子の為になると信じてるから」
そう言って、一瞬、どこか優し気な顔をする迷子の勇者。
その雰囲気は、悪人にはまったく見えなかった。
けれど……。
「できない」
「うん?」
「どんな理由があっても世界を国を滅ぼす協力は」
理由はなんとなく、分かった。
同じ勇者だからこそ、その守るというのも分かる。
けど、それでも、だからこそできない。
この男とは神様という通り、利害が一致しないとい思った。
何故なら、オレにも守りたいものがあるのだから。




