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いい女だよ
シルクのような美しい髪は、ただただ鋭い針となって迷子の勇者を襲ったが、ソレはいとも簡単に迷子の勇者に当たる寸前ですべて止められた。
迷子の勇者を包み半透明なバリアみたいな何かが、神様の髪を止めたのだ。
迷子の勇者の口元が笑う。
「あんた、いい女だよ。そのワガママなとげとげとした強引な性格。それでなお、ただワガママになって自由奔放にするわけではなく、神としての自分の領分、存在理由を理解して状況に応じてしっかりと対処しようとしている。自分ではどうにかできないとわかっていてもどうにかしようとする実さ。――今までいろんな神を見てきたが、あんたみたいにここまでしっかりしている奴は相違ない。まあ、多少子供っぽいところもあるようだが。それもいい」
『世迷言を。我に性別などないのよ。そこにいる勇者タクミの前に顕現したことでできた形なのよ』
神様の声が空間へ響く。
「それでも、姿ぐらいはお前の趣味趣向だろう?自由に変えれるのだから」
『くだらんのよ』
寸前で時が止まるかのように止まっていた髪が再び動き出し、今度はバリアを張る迷子の勇者を包み、眉のように締め上げた。




