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立ちふさがる英雄
槍を持ち立ちふさがる兵士にオレは構わず走る。
「ルーチェ、加速」
「うん・・・<<加速>>」
オレの言った命令に、背に着くルーチェが魔法を唱え、オレにそれをかける。
―――!?
驚く兵士。
これはアクセル――加速の魔法だ。純粋にオレの行動速度を上げる。その上昇は普段の数倍にもなりオレは目にも止まらない速さで兵士をすり抜けて国王の間を出た。
それは、本当に一瞬の出来事だ。
国王の間を出たその時だった、
っ――!?
「ルーチェ!!」
「<<障壁>>」
真上から無数の蒼色の剣が降り注いだ。
ルーチェの魔法でオレを包むように透明なバリアーを作り、降り注ぐ剣を防ぐ。
もちろん、オレは止まらない走り続ける。
だが、横やりがさらに入る。
「待て!」
ちっ――次から次へと。
疾走するオレを横から突き飛ばすように蒼銀の鎧を着た男がオレを剣で切りつけた。
キーーン!
防ぎ、オレは横に飛び疾走が止まる。
「トーリ!!」
蒼銀の鎧に金色の短髪。立ちふさがった青年の名前を叫んだ。
「タクミ。ここから先は通さない」
トーリ、オレと同じ契約者が立ちふさがった。