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4話

4話


俺の右頬には綺麗な紅葉模様が浮き上がっている。

かなり痛い。

今の俺なら治癒魔法も使えるが、

こんなくだらない事で使いたくも無い。

ヴァイオレットはバスルームから涙目で

俺を睨みつけている。

元々可愛い顔をしているので、

迫力は全く無いが。

ヤレヤレ困ったもんだ・・・。


時は少し遡る。


「ん~・・・おはようございます勇者さま~

何で私こんな状態になっているんですか!?

たーすーけーてー!あ、やっぱり・・・」


面倒くさくなったので、簀巻き状態を

解いてやる。


「あ、やめ・・・て」

ヴァイオレットが全て言い終わる前に終わってしまったのがわるかったようだ。


「~~~!」

本当に裸だったようで、

必死にたわわなモノを隠そうとしているが、

完全には隠しきれてはいない。

色々とチラチラと見えてしまっている。

全く理性を保つのも大変だ。


「勇者さまのバカー!!」

ヴァイオレトは、

拓也へ容赦無いビンタをすると、

床に落ちていた服を拾い素早い

動きで、バスルームに駆け込んでいった。




「・・・・・・」

着替えが終わったのだろう、

ヴァイオレットがバスルームから俺を睨んでいる。


「・・・みましたか?」

相変わらず涙目でジッと俺を睨んでいる。


「・・・見えてない」


「本当ですか?」

ここで返事を間違えると、

大変な事になりかねない。

慎重に返答しないとな。

しかし、不可抗力とはいえ、

良いビンタを食らってしまったのは、

非常に不本意だ。



「ああ、本当だ。つるつるでスベスベな所なんて見てないからな」

イライラしたせいか、思わず口が滑っちまったぜ。

ただ少し・・・何か違和感があった様な気がするが。



「・・・・・・っ!~~!」

ヴァイオレットの顔が凄い勢いで赤くなっていく。

そして手で顔を覆い、しゃがみ込んでしまう。


「お、おぃ!悪かったて!不可抗力だったんだって!」


「・・・責任、取ってください」


「せ、責任って・・・」

そんなにまずいことをしたか?

ただの不可抗力(ラッキースケベ)な事だが。


「もう私・・・お嫁に行けません・・・」

しゃくりあげる様子から泣いている事が確認出来る。

そんな決まりや法律なんて無いよな!?


「ちょっと、待て!そんな事聞いたこと無いぞ!?」

冷静にあっちの法律や規則がか思い出そうとする。

しかし、あんな事で結婚が決まるような世界では無かったぞ?


俺が考え込んでいると、

ヴァイオレットが何かを決意したように立ち上がった。

下を向いているので表情までは伺えない。


「勇者さま一緒に来てください。」

そう言うと、魔法陣を展開しながら

詠唱を始める。

詠唱が効率され全く無駄が無い

魔法陣も並列展開し発動の時間を驚異的に短縮している。

見ていて心地が良い。

英知の神髄と言っても良いだろう。

こういう所を見せられるとこいつが大賢者だったんだなと再確認する事が出来る。

あまりに惚れ惚れしていたらあっと言う間に術式が完成し発動する瞬間に俺の腕を捕まれた。



「ちょ・・・っ!」

一瞬の出来事過ぎて

もはや俺の意志など関係無く、

術式に巻き込まれ、()()()()()()()()()()()()俺は意識を失った。




「・・・知らない天井だ」

実に10年振りに呟いてしまった。

豪華で清潔感が漂うベッドに俺は寝ていた。

部屋には朝日が差し、心地良い風がカーテンを揺らしている。


「ここはどこなんだ、一体・・・?」

どれ位意識を失っていたのだろうか?

残念ながらその答えを

教えてくれそうな人はこの部屋に居ない。

ぼーっとする頭が徐々に覚醒していく。

部屋を見渡すとどこかで既視感を感じる気がする。

少なくとも昨夜泊まったビジネスホテルでは無い。

それどころか、

家具や部屋の作りが完全に日本のそれでは無い。

「ヤバイ!会社に休みの連絡入れて無い!!今何時だ!?」

社会人なら無断欠勤がどれほど不味いものかご存じだろう。

慌ててスマホを探すが、

服装がヨレヨレのくたびれたスーツから

民族の様なものに変わっている。


「なんじゃこりゃーー!!?」

連続的に起きる出来事に頭が追い付いていかない!

俺はどうなっちまうんだ!?



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