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桃猫太郎  作者: 桃苗
7/7

鬼退治

 みんなでまだ残っていたきびだんごを食べてから、夜半に桃太郎たちは鬼がいるらしい洞窟(どうくつ)へ向かいました。

 入り口で様子をうかがいますが、中は静まりかえっていて、気配を感じられません。本当に鬼はここにいるのでしょうか。

 犬の合図で、桃太郎と猿が飛び込みます。(きじ)は入り口で見張り番です。

 行けども行けども鬼は見つかりません。


 「確かに気配はするのだが」


 犬は不思議そうです。

 桃太郎はじっと辺りを見回しました。岩のくぼみが一ヶ所不自然な動きを見せました。


 「あの岩」


 桃太郎は小声で猿に知らせます。猿はよしきたと了解し、桃太郎と犬は気づかぬふりで他を探します。その間、猿はこっそりと一歩一歩その場所へと近付いていきました。


 「よっ」


 猿がかけ声とともに飛びかかります。桃太郎と犬も後に続きました。


 「わあっ」「きゃぁ」


 岩そっくりの色をした布の下から出てきたのは、子供の鬼たちでした。赤鬼と青鬼です。


 「な、何もしないから」「命ばかりはお助けを」


 子鬼たちはまだそんなに大きくありません。犬が二本足で立ち上がったら同じくらいの背丈です。どうやら桃太郎たちに(おび)えているようですし、怖くも何ともありません。


 「大人の鬼はいないの」


 桃太郎がたずねると、子鬼たちはううっと涙ぐんで下を向いてしまいました。


 「戻って来ないの」「もう長いこと」

 「え、じゃあずっと子供だけだったの」

 「そう」「ごはんも食べてない」


 ぐうとお腹を鳴らしたので、桃太郎はおばあさんの力のでるきびだんごを分けてあげました。犬がそれを見てにやにやしながら言いました。


 「お前ら、それ食べたら、桃太郎の子分だぞ」


 子鬼たちは顔を見合わせて、それから手の中のきびだんごを困ったような顔で見つめて考え込みました。

 

 「そんな」


 決まりなんてないよと桃太郎が言おうとしたら、猿に口を押さえられてしまいました。何するのさと見上げたら、猿も犬と同じようににやにやして首を横に振りました。桃太郎にはわけが分かりません。こんな時に雉がいたら「何で」と聞いたはずですが、雉は入り口で見張り番中です。

 

 「えい」


 青い方が大きく口を開けて、ぽいっときびだんごを口に投げ込みました。それを見て赤い方も真似をします。もぐもぐもぐもぐ。


 「食べちゃった」

 「そうさね」

 「これで鬼退治成功だな」

 

 えっそうなのと桃太郎がおどろいていると、子鬼たちは桃太郎に向かって頭を下げました。

 

 「親分」「子分になるのでもう一つ下さい」


 桃太郎はもうびっくりです。でも、戦わなくてすんだので良かったとにこにこしてきびだんごをもう一つずつ子鬼たちにあげると、雉を呼び寄せました。


 「ありがとう」「お礼にこの宝物をあげる」


 子鬼たちがくれたのは、どこにでもありそうな火打ち石と、姫りんごの木でした。


 「願い事をしながらこの火打ち石を打ち付けると、どこにでも行きたいところに行けるよ。これを使って、僕たちこの間村へ行ったの」「でも、怖くなって帰ってきちゃった」

 「ええ、そんなのもらっていいの」

 「うん。もう村人はおそわない」「ここで畑を作って暮らしてく」

 「わかった。じゃあ、時々遊びに来るね」


 桃太郎は、おじいさんとおばあさんもここへ連れてきてあげようと考えました。そして、おじいさんには畑仕事を、おばあさんには家事を子鬼たちに教えてもらえばいいんじゃないかしらと思ったのです。


 「姫りんごの木からとれた実は薬になるよ」「どんな病気でも治るの」

 「それなら、村へ行けなくても、おじいさんとおばあさんは大丈夫だね。病気になっても安心だね」


 桃太郎は大喜びで、ひげをぴんとたてました。



 さてその後、桃太郎と仲間たちは村へ帰る途中でたくさんの友達を作りました。みんな桃太郎の桃色と白のしま模様が大好きな友達です。あまりにもたくさんの友達ができたので、それを見て村人たちは考えを改めたのでした。

 桃太郎と仲間たちは、おじいさんとおばあさんのところへ帰って、いつまでも仲良く暮らしました。そして時々は鬼ヶ島の子鬼たちのところへも遊びに行ったのでした。雉はおじいさんとおばあさんの家の裏山で奥さんを見つけたかも、しれません。



おしまい

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