お供が仲間へ
なあ言ってみろよ、そう犬に言われて桃太郎は、自分の毛の色のことを村の子供たちに馬鹿にされたこと、それが元で村長さんとおじいさんがけんかして、おじいさんとおばあさんが村へ行くのをやめたことを話しました。
「それで、鬼ヶ島へ行こうと思ったんですか。うう。ぐすっ」
雉は桃太郎の話を聞いて、ぐすぐすと涙ぐんでいます。
「泣くほどのことかい」
猿が呆れています。
「何をおっしゃるんですか、育ててくれたおじいさんとおばあさんのために、鬼ヶ島へ行くなんて感動の話じゃないですか。えらいです」
「ううん。おいらは、それで村人が態度を改めるとは思えないけどな」
「俺もそうだ」
「なっ、感謝するに決まってるじゃないですか」
「そりゃあ感謝はするだろうさ。けどすぐ忘れるはずだ。忘れたらきっとまた桃助の毛の色を馬鹿にするだろうよ。人間なんてそんなものさ、鬼退治と桃助の毛の色の話はまた別の話だって言うだろうな」
犬は桃太郎に近づくと、ぺろりとその小さい頭をなめました。続けてべろんべろんと犬の大きな舌で顔中をなめられて、小さな桃太郎は体をふらふらと揺らしてしまいます。何で犬さんは急にと桃太郎はとまどいました。
「おいらもそう思うね。それよりも、村人以外のやつらに、それもたくさんのやつらに、桃ちゃんの毛の色がきれいだって、桃色で男の子でも変じゃないって言わせて、それを見せた方がへえそうかあって考えを変えるだろうね。人間なんてそんなもんだよ」
猿も桃太郎に近づくと、背中にまわって毛づくろいを始めました。
「つまりは、鬼退治は無駄足だって言いたいんですか」
雉はまたふくれっ面です。
「そうじゃないよ。おいらたちに出会ったからね。鬼退治に出掛けたおかげで、桃ちゃんにはじいさんとばあさんの他にも桃ちゃんの毛の色を良いって言う仲間ができたんだから」
「そうだな。鬼退治が終わったら、俺たちも桃太郎と一緒にじいさんとばあさんの所へ帰るとしよう。それから、帰り道にこいつの色をきれいだって、男でも変じゃないって言う仲間を見つけるんだ。そうすりゃめでたしめでたしさ」
「それはいいですね」
雉は喜ぶと、桃太郎に近づいて脚の付け根やしっぽの先についている草の実をつっついて取り始めました。
みんなに囲まれて毛づくろいされて、桃太郎はくすぐったくてたまりません。とてもあったかい気持ちで、どんなに強い鬼とでも今なら絶対に勝てそうな気がしました。




