ぼくとお供
桃太郎と、犬、猿、雉の一行は鬼ヶ島を目指して歩いて来ました。
先頭は桃太郎。一行の中では一番小さいけれど、元気いっぱいです。
「そろそろだね」
「あれが鬼ヶ島だ」
目の良い猿が指し示します。猿は歩くのに疲れたと、途中から犬に乗せてもらっています。少し遅れてついて来た雉は、息を切らしています。
「はあ、はあ。やっとですか。ずいぶんと歩きましたが、どうやって渡りますか」
猿はうーんと首をひねってから、みんなに聞きました。
「みんな泳げるかい。おいらは泳げないんだけど」
桃太郎と雉は首を振りました。
「ぼくも。水って苦手」
「私は泳いだことががないんで分かりません。泳げたとしても今は無理です。ごらんの通り、もうへとへとで、動けませんよ」
犬は鬼ヶ島の方をくんくんと鼻でかいでいます。
「俺は泳げるが、全員を背中に乗せて行くのはさすがに無理だぞ。それにこちらからは見えないが、色んな匂いがするから、多分鬼達はかくれているんだろう。泳げない奴がいるなら、闇夜にまぎれて舟で行った方が良いと思うぞ」
「なら舟を作るか、どこからか借りて来るか、かな」
猿は犬の答えにうなずいてから、雉に声をかけました。
「ねえ、あんた。ちょっとその辺で舟を探して来てくれないか」
「とんだ意地悪を言いますね。この様子を見れば、そんな非情なこと頼めないって普通なら思うでしょうに。猿さんはずっと犬さんに運んでもらっていたんですから疲れてないでしょ。あなたが行ってくださいよ。物をくすねるのは得意でしょうし」
雉はすねてしまいました。
「やあ、ひどいのは君の方だよ。そんなことを言うなんてさ。まるでおいらの手癖が悪いみたいに聞こえるじゃないか」
猿と雉は言い争いになってしまいました。
みんなで協力して鬼を退治しないといけないのに、鬼ヶ島に渡る前にけんかになってしまうなんてどうしたらいいのでしょう。桃太郎は困ってしまいました。
「おい、桃助、お前が大将なんだからしゃきっとしろ。俺はひとっ走り、舟がないか探して来るから、戻って来るまでに仲直りさせておくんだぞ」
犬はそう桃太郎に言い捨てると、舟を探しに行ってしまいました。
「大将って言われたって、どうしていいのか分からないよ」
桃太郎はしょんぼりしてその場に座り込んでしまいました。猿と雉の言い争う声はますます大きくなり、止めるのは無理そうです。
「今日はこんなに良いお天気なのに。青いお空に真っ白な雲がふわふわ浮かんでてさ。けんかしないでみんなで仲良くって、無理なのかな」
波は穏やかにないでいます。ひざしは暖かくてじっとしているとなんだか眠くなって来ます。
「お昼寝日和だよね。ふああ」
大きなあくびを一つすると、ずっと歩いてきたせいで疲れていたのか、眠気に負けた桃太郎は丸くなって目をつむってしまいました。




