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リア充? No!

 やべぇ。緊張するよー! どうしよう!!

 鼻くそマシンガンなんでこんなに可愛いのぉ!? 弱々しい顔をして、俺の右腕に両手でむぎゅ。ってしちゃってさぁ! 今の俺、リア充じゃん!!


「……大丈夫?」

「もう少し……だけ」


 俺の腕に顔を潜らせ、彼女はそう言う。

 いやいやいや! 可愛すぎな!


「どっかで一旦休む?」

「うん……」


 彼女も照れているのか、俺の腕から少し漏れてる耳は真っ赤になっていた。

 そして、俺は休みたいと申した彼女のために二人くらい掛けれそうな黒い長椅子に座る。


「ここで一旦休もう」

「うんっ……」


 とりあえず、俺はスマホであいつらに「後で合流するから。どっかいってて」と連絡を入れておく。

 わぁ! 完全に二人きりだー!

 どうしよう! どうしよう!!


「俺、何か飲み物買ってくるわ……」


 座るに耐えなくなつた俺はベンチから立ち上がり、近くの自販機まで走って向かう。

 あー! 席を立っちゃった! 次、座りにくいやつやん!

 自販機にはたくさんの飲み物があり、体が楽になりそうなスポーツドリンクを買ってベンチに戻ろうとした、その時……。


「ぎざまぁぁぁあ……」


 どこからか唸り声が聞こえてくる。

 怖い。怖い。この状況でドッキリか何かのイベントに付き合ってる暇はねーんだよ!

 そう思い走ろうとすると……。

 目が手に押さえつけられる。


「!?」

「リア充……殺す」

「ひぃいいぃい」


 俺は恐怖のあまり声が出てしまう。

 視界を奪われた後に殺害予告とか恐怖でしかないからな!? てか、リア充に見えてたのか!!

 喜びと悲しみが交差する。

 そんな不思議な感覚が起きていると「やめなさい」という声と共に視界が元に戻る。

 俺はその後、後ろを振り返ると豚人間が野獣のように歯ぎしりを起こし俺を睨んでいた。それを何とかアゴシャベルが押さえつけていた。


「頑張って……!」

「アゴシャベルぅ……。ありがとう!!」


 俺は急いでベンチに戻った。

 いやぁー、変なやつらのせいで無駄に汗をかいちゃったなー。

 汗が額から零れ落ちる。

 そんな汗をしっかりと拭き取ってからベンチに戻る。


「ごーめん。少し手間取って遅れた。はい、これ飲めよ」


 ペットボトルを鼻くそマシンガンの上にコツンと当てる。


「ありがとう……。汗かいてるけど大丈夫?」

「俺の心配なんてしなくていいよ」

「それにしては息切れが酷いよ」


 言われてみれば、確かに喉が乾いたかもしれない。


「確かに。喉は乾いたな。もう一度買ってくるよ」


 俺が再び立ち上がり自販機へ向かおうとすると、服の裾がぎゅっと握られる。


「あの……さ。これ、飲んでいいよ」

「ま、ま、マジで!? 後から訴えても知らないよ?!」

「そういうのいいからさ……。んっ……」


 俺の右手にペットボトルを握らせる。

 こ、これを本当に飲んでいいんだよな?!

 口付けキター!!

 ゴクリ。

 俺はそのスポーツドリンクを一口飲む。うめぇー!! 心做しか美味しく感じるー!

 恥ずかしいけど美味い!!

 そして、もう一口だけ貰おうと口を付けた時、俺の手からスポーツドリンクが離された。


「ごめーん! こ、このバカを抑えられなかった……」


 と、謝るのは木陰からひょこっと顔を現したアゴシャベル。

 そして、その前でゴクゴクとスポーツドリンクを飲み干す豚人間。

 ふざけんなよ!


「あのさ……ごめん」


 俺はベンチに座る鼻くそマシンガンにスポーツドリンクを取られてしまったことを謝る。


「ううん。いいの。それより早く行こっか……!」


 彼女の顔は明るくなり頬に体温も戻ってきているように感じた。


「じゃあ、行こっか」


 その後、俺達は付き合っていないということを証明した後、たくさんのアトラクションに乗った。だが、鼻くそマシンガンのことで頭がいっぱいだった。

 そして、終了の時間になった時、俺らは別れの挨拶をし各自電車に乗った。

 その帰り際に鼻くそマシンガンが俺の耳元で放った『今日は楽しかったよ……。ありがと』の言葉が脳に焼き付けられ忘れることは出来なかった。

 俺は家に帰った後も嬉しい気持ちでいっぱいだった。自分で言うのもなんだけどチョロいよなぁ。


 この後はこれといったイベントは無く、無事に今日から学校が始まろうとしている。

 絶対にクラス昇格してやるぜ!!

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