女装は殺傷能力あり
新クラスになった約一週間後。
クラス皆の顔はまともになったし、汚いが机もあるし教室と言えるものにはなった。もちろん、先生だってパ〇ドラをしていない。
だけど、何だか。Fクラスにいた時の方が楽に感じる。本校舎にいる、上クラスのやつに何かと雑用をさられたり、うんざりだ。
「なぁ、あのさ……?」
「何だよ」
今はホームルームの始まる前でクラス長と豚人間、それに女神様と話している。
「このクラスさ」
「……言いたいことは分かった」
「前より悪くない!?」
「それな!」
「悪いですよねー。私なんてBクラス女子の足を舐めさせられました……ドゥフ」
……。可哀想って言おうと思ったけど、クラス長の性癖を知らしめられて言えなくなったんだが。
「ずるくね!? Bクラスかよ!」
お前のも知りたくなかったよ。豚人間。
女神様は二、三歩下がり後ろで苦笑いしていた。
「じゃあ、お前は何をされたんだよ」
豚人間が引いている女神様に向かって睨みを利かす。
いや、可哀想だな! 何、こいつは怒ってんだよ。
「その……えーっと。はぁ……女装をさせられました」
「よし。さっきの計画は無かったことにしよー!」
「「おー!」」
「いや、待てよ!」
ここでクラス長が眼鏡をキランと輝かせる。
何をしようというのだろうか。何かを思いついたのか?
「その女装写真を見せてくれたら許す」
「……! それに賛成だァ!!」
ナイスクラス長! お前は英雄だ……!
「そんなの持ってない! ……あ」
「今の『あ』は何だァ? ……黙ってても分からないぜぇ。お嬢ちゃん」
「お嬢ちゃんじゃない! あと、今の『あ』は好きなゲームの新作が今日発売で……えーっと。うん!」
目を逸らし窓の方を向く。嘘が分かりやすくて宜しい!
「ダウト! お前は嘘をついている!」
「……ぎゃぁぁぁぁ!!」
それを打ち消すように顔を真っ赤にしながらも叫び出す。
「千冬君、大丈夫?!」「男を襲うとはやるな!!」と、周りの男女も集まってくる。
いやいやいや! 待てよ! てか、俺らが変態扱いされたらこいつのせいだ。つまり、こいつが悪い。
「ゴホン。まぁ、落ち着け。実はな女装写真が千冬のスマホに埋まっているかもしれないんだ……」
すると、クラス長も俺に乗ってきたのか指示を始める。
「全軍! 千冬からスマホを取り上げろ!!」
「「うおおおぉ!」」
周りの男子は一気に千冬のスマホへ突撃した。女子も突撃していた。
「やめ! ちょ……。分かったから!」
「観念したか! フハハハハハハ!」
「お、お前のせいで女子にまで見られるんだ……ぞっ」
やば。何これ、萌えそうなんだけど。
涙目で訴えかけてくる。千冬君。いや、千冬ちゃん。
守りたくなるじゃねぇか!
「す、少し待てよ……」
女神様はスマホを取り出し、画像を開く。
それに群がるように男女が近づいていく。
まぁ、後からでも見れるし。俺は後から見るか。
「「グハッ……!!」」
男女が鼻血を出して倒れたり、膝を地面に着く。
後から気になって見に行く者も同じような体制になっていた。
そして、残るは俺と数人。
「あ、あれは気をつけろよ……」
と、倒れている豚人間に忠告された。
ゴクリ。
どんな強敵なんだ……。
「……はい。これを見たら約束は守ってもらうからね」
約束……? あー、あれね。
見たら、クラス昇格の話をするってやつか。
俺は差し出されたスマホを黙視する。
「……」
可愛すぎて、一瞬記憶が飛びかけた。
何じゃ、このエロ可愛いコスチュームはぁ!!
バニースタイル。エロい! 頭には兎耳。ずるい! 履いているものは網タイツ。ワオ! カメラアングルが低い! ヤバイ!
それなのにモッコリが……。ギャップが凄すぎるっ……!
「……無念」
俺はその場に倒れた。
この後、瀕死状態の理由を先生に話し、何とかホームルームを受け一時間目から四時間目までの授業を受けた俺は昼休み。
クラスの人達に何とか残ってもらい、約束の話を始める。
「集まって貰ったのには理由があります……! えーっと! ここにいる全員が多分思ってると思うんですが……クラス昇格戦を挑みいな……って!」
「「賛成!!」」
意外にもあっさりと了承してくれた。
「でも……ゴールデンウィーク近くない?」
「……終わってからの五月にしっかりと作戦を考えよう!!」
こうして、ゴールデンウィーク明けの予定をしっかりと決め、俺達のゴールデンウィークは始まった。