表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/16

2話 「メルディア村」

       2話 メルディア村



 「おら!着いたぞ!メルディー村だぜ厄介者」


 牛車のおっちゃんの言葉で目が覚めると大きなあくびをし目を覚ます。いつの間にか寝てしまっていたようだ。


 「ありがとよ、おっちゃん。無理言って乗せてもらって。また頼むよ。」


 「次はねぇよ厄介者。大変だろうけど頑張んな。」


 そう言うとおっちゃんは、代金をちゃっかり多く請求し去って行った。


 「あの野郎、乗る前は600ピリアって言ってたのに、750ピリアに上げやがって・・・。頑張れか・・・、どうしよう全然やる気でねぇ。」


 そうブツブツいいながら、俺は村の中へと足を運んだ。


 村に戻ると、誰も迎えはいない。そりゃそうだ。まさか俺が勇者になってるとは誰も思わない。とゆうか勇者になったことは知られたくない。

 そう思いながら、誰にもバレぬよう音なく自分の家に入って行った。


 聖剣を玄関の橋に立てかけ、洗面台へ向かう。顔を洗い薄く汚れた鏡を見つめるとうつるのは、髪の短い黒髪の顔はイケメンでもブサイクでもなく冴えない顔をしている自分である。そしてまたこう呟く。


 「ほんとに、どこに勇者になる素質があったのかね・・・。全くわからん。」


 リビングに戻ると・・・、そこには、肩あたりの髪の長さの銀髪の少女が立っていた。背丈は高くもなく低くもなく、横から見た顔は少ししか見えないが、うん。可愛い。しかしここは俺の家だ。鍵はたしか閉めたはず。泥棒?いやいやこんな可愛い子がするはずがない。多分迷ったんだろう。っと勝手に自己解釈をしたところで、少女がこちらに気がついた。俺は少しビビりながらも、 


 「あっあのー、どちら様でしょうか?こっここ、一応僕の家なんですけどー。あっ迷って入っちゃたんですかね?名前とか聞いていいですか?」


 そう言うと、少女はにこりと笑い、


 「……げん」


 「はぁい?」


 「この!!クズ人間!!あんっっっなに抜くなと言ったのに、引っこ抜きやがってぇぇ!」


 さっきまで、にっこりとした笑顔は一瞬で消え、顔お真っ赤にしておれに襲いかかってきた。「ぐふっ」左頬にパンチを入れられ、胸ぐらを掴まれて前後に揺らされる。そして、聞き覚えのある声と、聞き覚えのある暴言、つい最近聞いたことがあるような・・・。


 勇者の頭の中に浮かんだのは・・・。人間では無い。勇者は震えた声で・・・


 「おっおっお前っ、せっ聖剣か?」


 すると少女は次は不敵な笑を浮かべ、


 「正解♡あと、聖剣って物で言うのやめてくれる新しいご主人様♡私には立派なエルナと言う可愛い名前があるから、そっちで言ってほしいな♡」


 語尾にハートはついているが全然顔は笑ってない。苦笑いしながら、胸ぐらを掴んでいる手を払おうとするが、これでもかってくらい強く握られており払えない。


 「そもそもお前が俺のことをボロカスに言わなかったら俺は引き抜く気は無かったし、そもそも何で次の勇者が俺なんだよ!どうやって決めてるんだよ!自分で言うのもあれだがなんの才能もないただの村人だよ!」


 「知らないわよ!ランダムに決められてるから私も勇者が握るまで誰かなんて分からなのよ!いい!引き抜いたからには、魔王を倒すために冒険に出てもらうからね!それが嫌なら私のいないところで死ね!」


 「ふざけるなよ!?死んでたまるかこの性ワル女!俺は絶対に冒険に出ない!俺には魔王を倒す力もやる気ももねぇ!そもそもこの世の中は誰も勇者に期待してねぇ!踏んだり蹴ったりだよこのやろ!!」


 「ンなことも知らないわよ!この世界の人々が勇者に期待してないのは先代の勇者たちのせいでしょ!私にはそれに関しては無関係よ!」


 「お前はその勇者達の武器だろうがァァァァ!!」


 お互い、家に響き渡る勢いで大声で怒鳴りあっていると、鍵を破壊する勢いでドアが開き、大声で、


 「おい!アラム!!帰ってくるなりうるさいぞ!!って言うか帰ってきたらなら、村長たる私に報告しなさいって・・・その子誰?」


 背丈の高い紅色の途中で結ばれた腰当たりまである髪の女性、この村の若村長がキョトンとした顔でエルナの顔を見つめていた。



………………………………………………………………



 「んでー、あんたはまさかの今回の勇者で、その子がその聖剣に宿りし神様で、さっきまで痴話喧嘩してたわけ?本当の話?ぶっちゃけアラムが勇者ってことだけですごいありえない話なんだけど。」


 この人はこの村の若村長のミルディア。今は亡き村長の孫であり村人達から一番人望が暑いことから、22歳にして村長になったのだ。幼少から見てきた俺から見たら村長というよりかは姉さんぽい存在になる


 「痴話喧嘩ちゃうわ!俺が勇者ってことに関しては俺が一番驚いてるし俺が一番嘘だと願っている。でもこれは現実らしい。だから俺はこの現実に目を背けずにのんびりこの家ですごすことに、痛いやめろ揺らすんじゃねぇ」


 俺の発言に不満があったのか、エルナが次は肩を掴んで揺さぶってくる。掴んでくる手の握力が女の子とは思えないほどにつよい。絶対これリンゴ砕けるレベルだわ。


 「あんた、今私にすごく失礼なこと考えてたでしょ。それよりも家でのんびり過ごさせるわけないでしょ!冒険に出るのよ!勇者になったからには強制労働よ!働けこのクズ人間!」


 「だから、俺は生涯この村で農業しながら自由気ままに過ごすんだ!死ぬかもしれない冒険になんて出たくねぇ!ミルねぇからも言ってくれよ。ガツンと!」


 ミルディアは大きなため息をつきながら俺を見つめてこうこたえた。


 「そうだな。作物作って暇な時間は寝て過ごすどうしようもないぐーたら野郎でも勇者に選ばれてしまったんだ。アラム旅に出ろ。時には手紙を寄越してくれよ。途中挫折して帰ってくるなよ?」


 「さすが、ミルねぇわかってる!そうそう俺みたいなぐーたら野郎には向いてないってミルねぇ、今なんとおっしゃった?」


 弁護してくれる筈のミルぇからとんでも発言が聞こえた気がする。うん、気のせいだ。そう信じたいが、やはり無駄にいい聴力は間違っておらず、


「旅に出ろと言ったんだアラム。これが天からの指名であるのならば絶対だ。今日はもう遅いから明日にでも村を出ろ。」


 「あなた分かってる!さすがは若くして村を収める長ね。神様からの太鼓判を押してあげましょう!」


 「神様から直接お褒め頂けるとはありがたい。これからにもせいが付きます。」


 空いた口が塞がらない俺に対しエルナはすごく嬉しそうな顔でミルディアと話している。


 嘘だろ、幼少期からの付き合いのミルねぇだったら俺の味方だと思ったなのにまさかの裏切りっ。

 

 「おいおい嘘だろメルねぇ!俺の役立づさは幼少期からみてるメルねぇが一番わかってるだろ。そんな俺に旅をでろなんてふざけた話」

 

 するとミルディアは深刻そうな顔で、


 「そんなことは分かっている。これはお前だけの問題ではない。もはや村の問題でもあるんだ。だから私は幼少期から付き合いのあるお姉さんとしてではなくここの村長としてお前に言う。この村から出ていけ。2度と帰っては来るな。」


 「えっ?」


登場人物紹介!

・アラム 職業 勇者(になる前は村人)


・エルナ 職業 聖剣に宿りし神様


・ミルディア 職業メルディア村 村長

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ