表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/26

6.監獄と腐れ外道

【STAGE:腐臭のする監獄】


「それで、話とは?」


「・・・、ああ」


監獄に入るのを執拗に拒んだ詐欺師を筆頭に、私以外入るなと言われたものだから、異様な幼女と青年看守の三人でお話中だ。


どうやら青年の種族は“悪魔”らしく、黒い羽根の出し入れを制御できるのを見ると、割と階級は高い。


「えっと・・まずそちらの看守の方の、」


「看守長のローズマリーです。あ、何なら副看守長もお呼びしますが」


「じゃあ、お願いします」


青年が部屋を出て、幼女看守長と二人きりになった。

気まずい。


・・ていうか、やっぱり看守の長だったのか。

確かにあんな力もあれば、そりゃねぇ。


「あの・・さっきは申し訳ありません、大切な入り口を破損させてしまって」


「・・・う゛ん・・いい゛よ」


「しかもあなたが看守長様だったとも知らず、身勝手に攻撃まで・・そういえば、お怪我は?」


「だい゛、じょうぶ・・・なお゛った」


「そうですか、それなら・・・・って、あの短時間でですか?」


私が攻撃したのはほぼさっきの事だし、こんなに早く治るのはおかしい。

彼女が人間ではないことくらいは分かるが、どういう技術だろうか。


「失礼します、看守長・・それに、客人の女神様」


「あ゛ー・・・」


先程言っていた副看守長らしき男が、頭を下げた。


片言の幼女は手招きをして、親しそうに横に座らせる。


「話は伺っております、副看守長のセトイラ・グースです。お見知りおきを」


背中の羽を隠そうともせず、温和そうに微笑む男。


間違いなく、こいつは“上級悪魔”だ。


「お忙しいのに申し訳ない・・ここまで騒がせることではなかったというのに・・」


「いえ、女神様ともあろうお方が、我々に大事な話があると聞いたもので・・ああ、ローズの話なら僕が代わりに」


ちらりと横を見ると、幼女のほうは、満足そうに青年看守とお喋りしている始末だ。


「では、本題ということで」


ここまで集まられたのだから、もういっそ3人とも仲間に入ってもらうか。


・・だが、天使たちは文句を言うだろうか。


何せ相手は、自分たちが生まれる前から敵とされている“悪魔”だ。


「あなたがた三人に、私たちと共に旅をしてほしい」


「無理です」


即答だった。

青年のほうも、“まさか自分もか”といった表情をしている。


「少なくとも、僕とかすみは悪魔。いくらメリットがあるといえど、神の元へ行くのはおかしいかと」


「僕も、そう思います・・!」


「・・・・そうですか」


ここはもう、諦めるしかないだろうか。


なかなかの強者だろうが、こうまで言われては仕方ない。


・・あ。


「それでは・・ローズマリー看守長は、来ていただけるのですね?」


「・・・た、び・・?」


看守長様はきょとんとしているが、副看守長様の目つきがとても険しい。

軍隊ってこんなに恐いのかよ。

こちとら元人間の女子高生だよ。


「無論、却下です。看守長がよくても、我々の規律が乱れるでしょう」


ああ、こういうときにこそ話術が欲しい。

ていうか詐欺師連れてこればよかった。

早く騙して仲間に入れようぜ?


「・・私の有能な部下たちを手配させて、看守に入れるというのは」


「天使などという下劣な種族を?却下です、ここを汚さないで頂きたい」


「ならば」


もう、選択肢はこれしかない。



「実力行使ということで」






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ