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マヨネーズとトマトケチャップ

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精進して執筆します。

 アタシとユズルは『パパワルの森』にいた。

 ほんの数秒前まで、地球で買い物を終えてばかりだ。

 アイテムボックスが地球でも使えたので、買い物自体は思ったよりもスムーズに済んだ。

 使った金額は3千万を軽く超えたが…。


「業者の人、驚いていたな…」

「そりゃあ、10代の男女が金に物を言わせて根こそぎ買おうとしたらねぇ…」

「お前が加減をしないからだぞ?」

「しょうがないじゃない。地球に転移できるのは1週間に1回、24時間の間だけなのよ。時間を有効に使わないと困るじゃない」

「その割に趣味の物も買っていたよな…」

「心の栄養は必要でしょ?」

「まあ…俺も買ったし、イズミのことは責められないか…」


 調味料に香辛料、食物の種を各種と肥料も各種買い揃え、野菜もたくさん買い、文房具に家具や書物(ライトノベルや漫画もね)にDVD(こっちもアニメDVDが多い)なども買わせてもらった。

 ちなみにユズルが個人的に買ったのは以外にも和菓子や洋菓子などの甘味に果物をこれでもかと…。

 後は携帯できるゲーム機・ソフト付きを数種類と電池を24個セットを10セットほど買っていた。


「それにしても、買ったわね~」

「まあ、ここまでで稼いだ分で済んだんだからいいんじゃないか?」

「まあね。まだ、金貨1000枚は黒字だしね」


 ハイデルの町に入り、各商店を周って買ってきた調味料や香辛料を配る。

 メインとなる『ジバット商店』には最後になった。まあ、すでに調味料も香辛料も卸してあるので後回しになったわけだ。

 ちなみに、リリヴェルとユートは新しい拠点となる『借家』にいる。宿屋暮しをしようとしていたのだが、商業ギルドのギルマス・イアンにギルド所有の借家に住むように促されたのだ。

 何故かって?少なからずこの先自分たちのことはこの町で知り渡るようになる。

 そうなれば、自分たちを狙ってくる者が現れるだろう…と。

 商業ギルドとしては多大な利益をもたらす自分たちをそういう者らから守る義務があると言うことで、ギルド所有の結界付きの借家の提供を受けたのだ。

 まあ、アタシたちだけならなんとでもなるがユートのことも考え、ギルマスの案に乗ったのである。


「待ってたぜ、お2人さん。調味料も香辛料も在庫がわずかなんだ」

「…成果出過ぎじゃない?」

「いや…値段的に言ってそうでもないだろう。さあ、荷物を並べようぜ」

「じゃあ、ジャンジャン出すからみんな頼むわよ」

「「ウス!」」


 店に活気が出る。アイテムボックスから出した品物をどんどん並べていく従業員たち。

 倉庫にも品物が積まれていく。しかし、商店の一角は何も並べていないコーナーがあった。


「それで、ここには何を置くんだ?」

「ちょっと試したいモノがあってね」

「あ、イズミさん。例のモノが揃いました」

「そう。じゃあ早速作ってみましょう」

「…何を作るんだ?」

「マヨネーズとケチャップよ」


 調味料の中でも別格なこの2つ。作り方は2つともそう難しくない。ただ材料が揃うかが問題だった。

 で、頼んでみたところ揃うことが分かった。だったら作るしかないっしょ。

 まずはトマトケチャップ作りからだ。トマトを洗って水気をとったもののヘタ部分にフォークを指します。その後、トマトを中火にかざして炙る。パチンと皮がはじけてくるので、1分ほど全体に熱が届くよう回して炙る。それを丁寧に皮をむいて横半分にトマトを切り、中のタネ(緑の部分)をスプーンなどで取り除いたら、微塵切りにする。それを低温で煮詰めていったら、塩・砂糖・お酢・コショウで味を調えたらまた煮詰めていく。これで、一応は完成だ。

 次はマヨネーズだ。卵黄1個に対し、酢を大さじ1程度、水小さじ1、塩、胡椒を少々。好みによりマスタード大さじ1。それをボウルにいれ十分にまぜあわす。卵黄1個に対し300cc程度までの食用油を少しずつ加えながら、好みのマヨネーズの食感にまで攪拌する。途中で分離しそうになったら酢を足すこと。最後に塩と胡椒を加えて完成だ。

 それらを瓶に詰めて木のフタでしっかりと閉める。これで売り物になる。


「早速、この調味料で料理を作ってみるわ」


 マヨネーズは生野菜に合わせるだけなどすぐに出来上がる。ケチャップは定番のオムライスにしてみる。

 意外にもこの世界にも『米』が存在していた。ただ、この『米』は食べ物としてではなく『お酢』の材料に使われていただけだった。なので、その米でご飯を炊いてみた。これが結構食べられたのだ(普通に美味しいかった)。

 野菜類も、色や形は違っても覚えのある味の物が多いので料理に支障はなかった。


「さあ、試食よ。食べて感想を聞かせてくれる?」

「…なんだこの白いドロッとしたモノは?」

「…こっちの黄色いのは卵か?でもその上にかかってる赤いのは…?」

「まあ、変な先入観を持たずに食べてみて」

「…では、いただくか」


 ジバットが食べるのを見て全員が手を伸ばす。


「―――何だこの味は!?まろやかだが濃厚…だが、悪い意味じゃなく口に残る感じが何とも……」

「美味しいです!」

「これは…野菜嫌いの人も食べられるわ」

「確かに、俺も生野菜が苦手だが、これをかければ食べられる」


 マヨネーズは好評価を得た。

 続いてオムライスも試食される。


「美味いな…。米が食えるってのも驚きだが、このトマトケチャップの甘酸っぱさが卵のまろやかさと相まって何とも言えねぇなぁ…」

「これは美味過ぎです。このトマトケチャップは他の料理にも色々使えそうですね」

「どうやら、マヨネーズ、トマトケチャップは好評価ね。じゃあ、売り出しましょう。試食も一緒にね」


 こうして、空いた場所にはマヨネーズとトマトケチャップの瓶が並べられていく。

 そのうち、ドレッシングも普及できれば…と考えている。

 試食の甲斐もあり、マヨネーズとトマトケチャップは飛ぶように売れた。売るときは必ず一言「一週間以内に使いきるように」と添えて。


「また…とんでもない物を売ってくれたな」

「ギルマス、どうしたの?」

「どうしたのじゃない。うちのモンがこの2つをここで買ってきたと聞いてな」

「新商品のマヨネーズとトマトケチャップだけど…何か問題が?」

「問題大ありだ。この調味料は革命的なものだぞ。今も、色んな飲食店からレシピ公開を求められてギルド中がパニックになっているんだ」

「はぁ~…ギルマスも大変ねぇ」

「他人事かっ!?」


 まあ、問題になるとは思っていたので、この結果はすでに予測済みだ。

 つまり、今回の騒ぎはこの2種類の調味料を一気に広めるための『策略』だったわけだ。


「冗談よ、冗談。これ、レシピよ。ただし、レシピ特許は取れるわよね」

「無論だ。すぐに手配する。…分かっていてやったな?」

「何のことだか」


 ギルマスの言葉にすっとぼける。

 まあ、バレているとは思うけど…。


「とにかく自重してくれ。暫くはな」

「…善処するわ」


 店のことはジバットたちに任せてアタシたちは借家に帰ることにした。


「今のところ売り上げはどうかしら?」

「今日1日で金貨500枚は固いな」

「そうなると、1ヶ月で金貨15000枚か…」


 そうなると、やっぱり『副業』をすべきだろう。


「酪農場経営を考えているのか?」

「まあね」


 ユズルの言葉に驚きもせずに返事を返す。

 本当、コイツは感働きが良い。

 基本、ユズルはアタシのやることに口を挟まない。

 だからと言って、スルーしているわけじゃない。

 必要なことは教えてくれるし、間違いはちゃんと指摘してくれる。

 ただ、自主性が無いだけなのだ。

 自分からは動こうとしないのはどういう了見なのか?

 コイツのポテンシャルならアタシ以上に出来るのになぁ…。

 ―イズミ―

 Lv.22 HP:137 MP:152 SP:119 EXP:98 OP:17710P

 勇気:134 知識:184 包容力:129 熱意:130 想像力:161 絆:103 

 能力:経験優遇LV.4 スキル:0 魔法:3



 ―ユズル―

 Lv.23 HP:231 MP:132 SP:155 EXP:97 OP:17710P

 勇気:176 知識:152 包容力:169 熱意:111 想像力:113 絆:107 

 能力:貨幣変換LV.5 時空転移LV.4 スキル:2 魔法:0


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