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プロローグ

ダブル主人公ものです。

朝は辛い・・。

いや、徹夜明けだから辛いのだ。


「なんで、大学に行かにゃならんのよ・・」


毒吐くが、つまりは『単位』のためである。

見事に現役で某一流大学に入ったアタシは、親元を離れ念願の一人暮らしを満喫していた。

勉強はゲーム感覚でできたので頭の作りは悪くない。なので、最低限の単位さえとれば何とでもなる。

一日中、好きなゲームに溺れての生活を満喫していたが、昨日は(厳密には今朝までだが)オンラインゲーをやり込み過ぎた。

だって仕方ないじゃん。レイドボス大討伐!燃えたね。おお・・余韻に浸りたかったのに・・・。


「だりぃ・・。大体、金稼いでいるアタシが今更単位取る意味ってあるのか・・?」


ある特許のおかげで、今もアタシの通帳はとんでもない桁のお金がコンスタントに入ってくる。

もともと自分が楽しみたいために作り上げたシステム『SVRシステム』の基本形態を作り上げた。

『SVR』・・スーパー・バーチャル・リアリティの略である。仮想現実の世界で動き回るのが元来のVRを意味しているが、アタシが作ったのはより現実味を帯びた仮仮想現実の世界・・・要するに『異世界』を造ろうという壮大なものだった。科学も、魔法も、魔物も、多種族も存在する世界・エルシオン。

そこでは、自分がなりたい職業になれ、現実世界にもある職業ならエルシオンで免許が取れた場合、現実世界でも適用されると言う物なのだ。

現実とシンクロもできる世界、それが、『SVR』である。


ネットで出会ったゲーム廃人同志による妄想を形にして行った結果、本当に作り上げてしまい今に至ると言うわけだ。

SVRの世界エルシオンでは何でもできる。

冒険者的なことも、現実の世界でも使えるお金を稼ぐことも、いろんな免許も取ることも、現実にあるのは『生身』だけ。他はエルシオンで何でもできると言っても過言じゃなかった。

エルシオンでは煩わしい人間関係などない。正当に働けば正当な給金が与えられる。

仮想現実のはずが現実感のある生活が出来るのだ。

ただし、衣・食・住は現実世界でなければ得られないが・・・。


まあ、そんな感じで働かずともアタシはこの世界でやっていけている。

あ、1つ言うことがある。

アタシがやっていたのはSVRではない。

旧型のVRMMOだ。


「やっぱゲームは予測不能の方が面白いな」


完璧に近いSVRは確かに素晴らしくはあった。

が、刺激はほとんどなかった。


だからアタシは特許で落ちるお金以外ではSVRには関わらないようになったのである。

SVRに携わった9割のメンバーは結局ただのゲムヲタに戻ったのだ。


アタシの名は『森野 和泉』。ただのゲーム廃人である。

あ、ちなみにアニメもマンガも好きだ。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



俺にとって『現実』は『遊び場』だ。

IQ160以上、運動神経も高く、どのスポーツでも一定以上の成果を苦も無くやり遂げる。

顔も悪くはなく、8頭身のスタイルとなれば、モテ期の意味もないほど年中モテている。

今時ラブレター?と思われるかもしれないが、メルアドを公開しようものなら引っ切り無しになるのは目に見えているので誰にも教えていない。


ただ、まだDTである。

つーか、現実の女ほど馬鹿に見えて恋愛に発展などできなかった。

男が妄想する女などこの世にはいない。

さりとて、誰でも良いとも思えない。


「ステラが現実にいたらなぁ・・」


思わずぼやく。

ステラはSVRに出てくるNPC。

ハイ・エルフと言う種族で、容姿は申し分ない上に礼儀正しい『森の管理人』の一人。

NPCではあるが、結婚も可能なのだ。

だけど所詮は仮想世界でしか会えないキャラクターに過ぎない。


「リア充なんてクソくらえだ・・・」


この世界には夢も希望もない。

あるのは、くだらない『シガラミ』だけ。

将来の約束された人生ほどつまらないものはない。


俺の名は『剣崎 結弦』。ただのリア充だ。意味などないが。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



静寂に包まれた場所だった。

暗闇の中に無数の光が見える。まるで、星のようだ。

よく見れば360度全てがそう言う場所だ。

自分が地面の上にいるのかもわからない。


「おおっ!?」


いつの間にかアタシの横に男がいた。

イケメンだった。

リア充爆ぜろ。


男は目覚め辺りを見回す。

アタシと視線が合う。


「ここはどこだ?」

「知らん」

「あ?どういうことだ?」

「アタシも今、目を覚ましたばかりだ」

「そうか・・・」


コイツ、何様?

殴っていいか?

アタシはイケメンだろうと殴れる女だ。


「SVRでも、現実でもないってことは・・・『神』にでも呼ばれたか?」

「か、神ぃ?」


コイツ、アホなんじゃね?

神がホイホイ現れるわけ―――。


『お待たせして悪かったね。いやー『調整』に手間取ってね』

「人2人の存在を完全に消すには時間もかかるさ」

「・・それって、アタシの存在を地球から消したってこと?」

「それ以外になんだと?言っておくが俺も含まれているからな」


コイツ、自分は何でも知ってるみたいな顔して・・・殺るか?殺っていいか?

目の前の『少年』を無視して、アタシはイケメン野郎を睨みつける。


『まあ、ケンカしないでよ。実は2人に頼みたいことがあるんだ』

「それって、別世界に行って魔王倒せとかって言うんじゃないだろうな?」

「それはどんな冗談だ?いくら何でもそんな荒唐無稽な――」

『いやー、その通りなんだよねこれが』

「・・・・・」

「・・・・・」


アタシと隣の男の目が冷ややかなのは言うまでもあるまい。

このガキ神。アホなのか?


『とはいえ、それだけが目的ではないんだけどね』

「まあ、この文武両道・眉目秀麗の俺を呼び出しておいて『魔王を倒せ』程度の話なら断っていたな・・・」

「何コイツ、『完璧超人』?」

『確かに、彼は完璧だ『リアル』ではね。しかし、バーチャルでは君には適わないさ』


確かにゲームなら腕に自信はある。

でも、世界一って程じゃない。


『確かに単純なゲームの腕前なら君の腕は世界一には及ばない。しかし、君の創り上げたSVR理論はまさに世界に革新をもたらした』

「この女がSVRの・・・?」

「アタシ1人で作ったわけじゃないけどな」

『しかし、SVRの基本理論を作ったのは君だ』


確かに、基本理論はアタシが作った。

でも、そんなに大したことじゃ・・・。


『君は自分の作ったものの価値を知らない。あれは貧困喘ぐ者たちに希望をもたらしたんだよ』

「確かに、バーチャルの世界で稼いだお金が現実世界で使えると言うのはまさに革新的なものだ」

「あれは、SVRの核となる世界・エルシオンの発展に対する報酬みたいなものだからね。SVRで使う『お金』は元々本物のお金なわけだしね」


これはケータイゲームの『課金』システムの応用だ。

つまりエルシオンでのお金は現実に稼いだお金で回っているのだ。

そうすることで半永久的にSVRの世界は続いていけるのだ。

もちろん現実的なモノだけでなくゲーム性を組み込んだので老若男女問わず色んな事が出来るようにした。

SVRは色んな企業がスポンサーとして入っている。ゲーム会社だけでなく金融関係から産業分野まで・・ただし『株式』だけは組み込まなかった。この世界をマネーゲームに利用させたくなかったからだ。


『僕の創った世界は地球の規模で言えば5倍くらいある。多種多様な種族を生み出し、精霊や魔法など自然に優しい世界として発展を望んだんだが・・・・・』

「あー・・・それぞれの種族が好き勝手にやって、発展どころじゃなくなったってところだな」

『何でそれを!?』

「ありがちだな。文化も考えも違えば信仰するモノも違う。そうなると閉鎖的になるんだよ」

「信仰ってなにも神様だけに対するものじゃないからねー。精霊やら魔法やら詰め込んだとなると使えるか使えないかでどうしても信仰するものが変わるから」

「新しものを与えて喜ぶ者もいれば、疎ましく思う者もいるんだよ。だから発展しないのさ」


世界は複雑だ。

しかも、種族が多ければ多いほどカオス化しやすい。

指導者がいなければまとまることなど皆無だろう。


『そんな時に『魔王』が生まれてね。正直困っているんだ』

「しかし、魔王を倒しただけでどうにかなる世界だとは思えないけど?」

「そうだな。そんな調子だと『飢饉』や『ウイルスや病気』などの対応もできてないだろうし」


これだけ悪条件が重なると、一朝一夕にはどうにもできない。

それこそ、1世紀単位でみなければ無理な話だろう。

しかし、そんなに長生きもできないわけで・・・。


『僕の創った世界を救ってほしい。一応、寿命は1000年と言うことで・・・』

「おい」

「心でも読んだか?」

『いや、これでも一応神だから。少しは考えているから』


怪しいもんである。


「で、通貨はどうなっている?」

「と言うか、どうやって金を得るのかが知りたいところだな」

『そうですね。まず通貨ですが、金貨や銀貨、銅貨などのコインは共通ですが、紙幣は国によって違いますね。あと。お金はモンスターを倒すと『金貨』を手に入れることが出来ます」

「金貨って、どくらいの価値があるんだ?」

『金貨1枚で、こちらの世界で1万円くらいの価値ですかね?』

「と言うことは銀貨1枚が千円、銅貨1枚で一円か?」

『そんな感じですね』


通貨はモンスターを狩って金貨を得ればいいだろう。

問題は・・。


「で、肝心のモンスターの強さはどうなってる?」

『正直、最低レベルのモンスターでもレベル1では倒せないでしょうねぇ』

「倒せないって・・・」

『無論、『1人で』ではですね。まあ、お二人なら問題ないでしょう』


どこまでも適当なガキ神だ。


『最低限の装備をした状態で送り出しますし、よければお金もそれなりに・・・』

「そのことなんだが、日本で貯金していたお金分は自分のモノとして返してほしいんだが・・・」

『流石にそれは・・・彼女の場合は桁が違いますし・・・』

「まあ、流石にアタシも億単位で持ってたしねー。じゃあ、その代わり拠点となる家が欲しいんだけど?できればちょっと大きめの家が」

『まあ、そのくらいなら…』


いきなり、放り出されても困るので、ここはしっかり交渉しなくてはいけない。


『で、どうでしょう?サクサクっと世界を救ってもらえませんか?』

「投げっぱなしか?」

『まあ、否定はしないけどね。でも、君たちの能力があれば可能なはずです』

「能力があってもねぇ。それだけでどうにでもなるわけじゃないだけど?」

『では、神の恩恵として望む能力を与えましょう。とは言っても1人1つですが・・・』


その言葉にアタシは考え込む。

それは、イケメン男も同じだった。


「それって、本当に何でもいいんだよな?」

『そうですね。世界規模の破壊兵器とかいきなりレベルMAXとかでなければ…』


んなもんに用はない。

アタシにとって死活問題になるのはそこじゃない。


「じゃあ、アタシの欲しいのは『ネット環境』ね」

『はい?』

「異世界に行くのは百歩譲って良いとして、アタシはネットもアニメもマンガも無い世界なんて受け入れられない」

『あの・・引き籠らないですよね?』

「そうだなー。1週間に3日くらいにしておいてやるよ」

『3日は引き籠るんですね・・』


呆れられようがこれがアタシの出したギリギリの譲歩というヤツだ。


「あー・・・俺は特別に2つ叶えてもらいたいんだが・・・」

『1つって言いましたよね』

「関連があるから2つなんだが、一応聞いてくれるか?」

『・・言ってみるだけ言ってみてください』


特別視はしたくないのだろうが、イケメン野郎の顔色は変わらない。


「まずは、持っているお金を『どんな国の紙幣にも変えられる能力』が欲しい」

『それは別にいいですが?どうしてそんな能力を?』

「いいんだな?『どんな国の紙幣にも変えられる能力』だぞ?」

『構いませんよ。それで、もう一つの能力と言うのは?』

「俺の生れた日本に行き来できる能力だな」

『はい?』


あまりのことに聞き返す神。


「何も、自由に行き来できる能力までとは言わない。そうだな・・1週間に一回、それで日本にいられるのは12時間だけってのはどうだ?」

『また、どうしてそんな能力を?』

「お前の話を総合すると、その世界は発展途上と言うよりも悪い状況に思えるんだが?」

『確かに、君たちの世界で言えば中世の前半頃の西洋文化に近いですかね?』

「やっぱりな・・。となると食文化もほとんど発展していないんじゃないか?」

『してませんねぇ・・』

「なるほど、現代の料理になれたアタシたちが満足できる食事が出来ないってことだな」

「そう言うことだ。どんなに基本スペックの高い俺達でも、頭が回らないだの、ストレスが多いだのでは世界を救うどころの話ではなくなると言うことだ」

『それは確かに、死活問題ですねぇ』

「特に米だな。ジャポニカ米は、日本人の祖先たちが長年の交配を経て作ったものだ。『米』自体はその世界もあるだろうが馴染の味とは思えないからな」


衣・食・住は暮らしの基本。

ある程度の余裕がないと、『世界を救う』なんて大仕事が上手くいくはずもない。

もちろん。自分たちだけでできるわけでもない。

だからこそ、自分たちの『当たり前』を忘れてはいけない。

良いところは取り入れるべきなのだから。


『分かりました。その2つの能力を与えましょう』


これでようやく生活基盤は整ったと言えよう。

後は、戦うための能力だ。


「そう言えば、レベルがあるってことらしいけど、それって目に見える物なのか?」

『普通はありませんね。ですが、あった方がやり甲斐があるでしょう?』

「神、やりたい放題だな」

『神ですからね』


まあ、ありがたいから良いけどな。


「そうなると、武器や防具、魔法なんかはどうなるんだ?」

『とりあえず、全部使えます。もちろん、レベルを上げることで使える武器や防具が増えたり、技や魔法はポイントを使って覚えます』

「なるほど、レベルを上げて筋力や体力が上がることで持てる武器や重い装備もできるわけだな?」

『流石、天才ゲムヲタだけありますねぇ』

「褒め言葉と思っていいだよな?」


ガキ神の軽口にイラッときながらも、話を前に進めることする。


「魔法は1種類なのか?」

『魔法の種類は、『攻撃魔法』と『防御魔法』、『回復魔法』に『精霊魔法』と『召喚魔法』、後は『錬金魔法』ですね』

「ポイントってどうやって増やすんだ?」

『モンスターのレベルで貰えるポイントが違いますが、基本は1体倒せば1ポイントは確実に入ります』

「ポイント量で好きな技や魔法を選べるってことか?」

『そう言うことです』


まあ、これであらかた聞きたいことは聞けたか?


『それで、どうしますか?』

「どういう意味だ?」

『性別とか年齢とか種族とかです。できれば、種族は同じにしてもらいたいのですが?』

「性別は女のままだな。年齢は15くらいからでいいかな」

「俺も男のままだな。年齢も15でいいだろう。種族は日本に行くことも考えれば人間のままだな」

「なら、アタシも人間で良い」

『分かりました。では、後の細かい調整は僕がしますね』


そう神が言うと、アタシたちの身体が光に包まれていく。


『他に聞きたいことが会ったら、毎日寝る前に僕を呼んでくださいね』

「1日1回、夜にだけってことだな」

『では、僕の世界『アミルティア』をよろしくお願いします』


全身が光り輝き、意識が遠のいていく。

結局、なし崩しのまま異世界行きか・・・。

まあ、1000歳までは生きられるんだ。

ゆっくりアタシ好みの世界にしてやるか・・・。


とりあえず、リアルイケメンは無視の方向で・・・。

不定期連載になります。

よろしくお願いします。

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